いつも自分の方を見ていてほしいと願うアランに対して、エドガーはどういう気持ちだったのでしょうか。
そもそもエドガーがアランを仲間に選んだ理由はいくつかあると思いますが、自分自身がアランに好意をもっていたというのも、その1つでしょう。
一緒に砦跡に行った帰り道、エドガーはアランを仲間に入れようとして失敗しますが、その時にこんな独白をしています。
「そしておまえは愛するものを
ふたたびそのつめに
かけようとするのか
その呪わしい一族に
くわえようというのか」
私はこの時エドガーが、誰にもわかってもらえない孤独を共有できる相手としてアランを見ていたように思います。
メリーベルと男爵夫妻を失って、エドガーはアランとともに新たな旅に出ます。
エドガーにとって唯一の肉親だったメリーベル。
ただただ妹を愛し守るためだけに120年以上の時を生きてきたエドガーの喪失感が、どれほど大きなものだったのか……。
その淋しさを推し測ると、アランを連れて行ったことは自然な流れに思えます。
孤独を共有できるばかりでなく、メリーベルの思い出も共有できる相手として。
そして無意識のうちにメリーベルの身代わりとして。
そんなエドガーの心も、ある出逢いによって変化していったのではないかと私は感じています。
続きは次のページで――。
(初投稿日:2016. 12. 14)