亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

*ポー復活で舞い戻ってきたファンがゆっくり綴ります。ネタバレご了承ください

(11)この作品は、いつ頃のお話?~①「すきとおった銀の髪」

ポーシリーズには年代が特定されていない作品があります。
発表順に「すきとおった銀の髪」「ピカデリー7時」「はるかな国の花や小鳥」「一週間」の4つです。


これらが大体いつ頃の話なのかわかれば時間軸が定まって、ポーの世界を更に楽しめるのではないかなあ…
そう思っていると『flowers』2017年3月号に「ポーの一族ヒストリー」として年表が掲載されました。


嬉しいことに、そこには「すきとおった銀の髪」の年代も載っていました。


「18世紀後半~19世紀前半 チャールズ少年、メリーベルと出会う」


「すきとおった銀の髪」は14歳のチャールズがメリーベルに出会って恋をし、30年後に再会する物語ですから、2人が初めて会うのが18世紀後半、再会するのが30年後の19世紀前半ということです。
編集部の「『すきとおった銀の髪』はこの特集に当たり、著者に確認」という注も付いているので、これで確定でしょう。


実は「すきとおった銀の髪」の年代を記したものは、『flowers』の前にも2つありました。


1つは『別冊少女コミック』1973年3月号。
これは「メリーベルと銀のばら」第3話(最終話)掲載号で、作品の欄外に萩尾先生手書きの「小鳥の巣」までの年表が載っています。
先生はこう書かれていました。


「すきとおった銀の髪――1820~1850」


『flowers』の年表より20年以上遅いですね。


もう1つは1978年に徳間書店から出版された『テレビランド増刊イラストアルバム⑥萩尾望都の世界』で、「ポーの一族 年表」にこうあります。


「1815 チャールズ、メリーベルと会う」
「1845 年老いたチャールズ、変わらぬメリーベルと会う」


こちらは『別冊少女コミック』より5年ずつ早くなっています。
別冊少女コミック』の年表が書かれたのが第1シリーズ連載中なのに対して、『テレビランド増刊』の年表は第2シリーズ終了後。
第2シリーズの「エヴァンズの遺書」が1820年の話ですから、それとの整合性を取るために早められたのかもしれません。


『flowers』は萩尾先生に確認した最新の年表ですので、異論を差しはさむ余地はありません。
ただ、チャールズやメリーベルのファッションに注目すると『テレビランド増刊』の年代が絵に一番近いように感じられて、個人的にはちょっと意外な気がしています。


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残念ながら『flowers』の年表でも「ピカデリー7時」「はるかな国の花や小鳥」「一週間」については「時代不詳」とされています。
そこで次のページからは、これら3作品がいつ頃の話なのかを、ざっくりとですが考えてみたいと思います。


(初投稿日:2017. 4. 4)


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2018. 3. 2 追記


「(30)『ポーの一族』イラスト集~予告・表紙・合同扉絵④」に『別冊少女コミック』1973年3月号の年表の画像を載せました。
「小鳥の巣」第1話の予告カットに含まれています。

(30)「ポーの一族」イラスト集~予告・表紙・合同扉絵④ - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

 

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2018. 7. 21 追記


2004年4月にNHK BSで放映された「BSこだわり館 THE少女マンガ!~作者が語る名作の秘密『ポーの一族』」が、先日LaLa TVで再放送されたので視聴しました。
番組では萩尾先生ご自身が「ポーの一族」の創作秘話を語ってくださいました。
先生のご出演場面とは別に年表が挿入されて、そこにはこう書かれていました。


「1815 すきとおった銀の髪」


チャールズとメリーベルが初めて会ったのが1815年という意味だと思いますので『テレビランド増刊』と同じです。
年表の作成に当たって先生に確認を取っているでしょうから、2004年の時点では「1815~1845」だったということですね。


それがなぜ『flowers』の年表で「18世紀後半~19世紀前半」に早められたのでしょう?
ひょっとして、これからそのあたりの年代の新作が描かれる構想があって、その兼ね合いで、という可能性も考えられますが…。
もし、そこまで遡る作品を読めたら楽しいですね。


ところで「BSこだわり館 THE少女マンガ!」は「ポーの一族」ファンにとても興味深い番組でした。
新作に合わせて再放送してくれたLaLa TVに感謝です!
見逃した方のために、また放映されるといいですね。なるべく全国で見られる局で。