亜樹の萩尾望都作品感想ブログ

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(23)萩尾望都SF原画展@佐野美術館に行ってきました

12月15日(金)、静岡県三島市の佐野美術館で開催されていた「萩尾望都SF原画展」に行ってきました。
この原画展は2016年の吉祥寺からスタートして新潟・神戸と巡回し、三島は4か所目です。
私は吉祥寺にも行って原画の美しさに感動したのですが、新潟から大幅にスケールアップしたと聞いてぜひとも観たくなったのでした。


三島駅で友人と合流し、3両編成の可愛い伊豆箱根鉄道に2駅揺られて三島田町駅へ。
すると改札の横の掲示板にポスターが!
歓迎されているみたいで嬉しくて思わず記念写真(友人撮影)。

 

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美術館は駅から歩いてすぐ。
入口を入ると、この原画展のお約束になっている撮影コーナーです。

 

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展示室に行く前に映像コーナーへ。
そこでは神戸で行われた萩尾先生と森見登美彦さんの対談のダイジェスト版VTRが流れていました。
お2人とも穏やかな方で、ほのぼのとした雰囲気の中、SFにまつわる面白いお話をいろいろ聞けました。


さて、いよいよ展示室。
佐野美術館は新潟・神戸の会場と比べると小さいので、展示数が若干少ないそうですが、それでも吉祥寺では見られなかった原画や複製原画が沢山あって感激でした。展示総数は約400点だそうです。


特に寓話のようで大好きな「月蝕」のモノクロ原稿を12枚すべて見られたのが嬉しかったです。
これは1979年の作品で、繊細な線、黒と白のコントラスト、不穏な森の描写など、その美しさに溜息が出そうでした。


左ききのイザン」と「いたずららくがき」も原稿が全ページありましたし、「11人いる!」「スター・レッド」「百億の昼と千億の夜」「マージナル」なども複製ではあるものの20枚以上連続したページの展示なので、眺めるというよりはじっくりと読んでしまいます。


「11人いる!」の貴重なプロットも2枚ありました。
場面ごとの人物の心理状態が細かく設定されていて、不安と安定を交互に配してストーリーを構成し、クライマックスに向かって盛り上げていくなど、創作の一端を垣間見ることができてとても興味深かったです。


私にとって馴染み深いのは70年代の作品ですが、80年代以降のあまり知らない作品も、すべて手描きという原画の美しさと迫力に圧倒されました。
映像コーナーも含めて3時間以上、絵だけでなく萩尾先生の豊かなイマジネーションの世界を堪能し、長年にわたってこれほど多くの素晴らしい作品を生み出してこられたことに改めて敬服しました。
1つだけ残念だったのは大好きな「ユニコーンと少女」のイラストがなかったこと。でも「SFアートワークス」を見て満足することにします。


会場の出入口の近くには萩尾先生へのメッセージノートが置かれていて、手に取ってみると熱いメッセージでいっぱいでした。
幅広い年代の方が書かれていましたが「親子で来ました」というものが結構あり、10代・20代の方も多くて、若い萩尾ファンも大勢いるんだなあと思って嬉しかったです。
そればかりか英語のメッセージもいくつか見られ、先生の人気は世界的なんだと実感。さらに広く読まれてほしいと思いました。


美術館の敷地内には庭園もあります。
12月半ばでも、まだ紅葉が残っていました。

 

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原画展を鑑賞した後、庭園に面したお食事処で一休み。
寒い日だったので私はお汁粉で暖まり、友人はフルーツ山盛りのあんみつを。珍しい柚子蜜でおいしかったそうです。


佐野美術館でのSF原画展は12月23日で終了し、来春、北九州市漫画ミュージアムに場所を移します(なんと木原敏江先生の原画展と同時開催という贅沢さ! 行ける方が羨ましい)。
その後も各地を巡回予定とのことで、ぜひ多くの方に観て頂きたいなと思います。