亜樹の萩尾望都作品感想ブログ

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(56)「ポーの一族展」の「宝塚歌劇の世界」ゾーン

先日、松屋銀座で大盛況のうちに幕を閉じた「デビュー50周年記念 萩尾望都 ポーの一族展」。
前の記事にレポートを書きましたが、「Ⅱ 宝塚歌劇の世界」ゾーンについては飛ばしていましたので改めてこちらで。


ここは昨年宝塚で上演された「ポーの一族」を紹介するゾーンです。
私も観劇しましたが、原作の世界観を大切にした上で宝塚ならではの華やかさがプラスされ、紙の絵が見事に立体化されていました。


ゾーンの中央では、その舞台のダイジェスト映像が流されていて、多くの方が足を止めて見ていました。
前のゾーンで原画を見ていた時からエドガー役の明日海りおさんの歌声が聞こえていて、私は「明日海さんの声を聞きながらポーの原画を見られるなんて最高 ♪」とニンマリしていました。
でも、このダイジェスト映像、ちょっと短い…。
もう少し長く見せて頂けませんか? 歌劇団様。


映像以外にも、衣装、小道具、舞台写真のパネル、衣装デザイン画、大道具デザイン画を展示。
また、ブラックプールにやってきたポーツネル一家が登場するホテルの階段のセットが、縮小されて設置されていました。


衣装だけ撮影可だったのでご紹介します。


一家がホテルに登場する場面

 

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エドガー

 

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リーベル

 

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男爵

 

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シーラ


エドガーがアランを連れて行く場面

 

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エドガー

 

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アラン


間近で見ると、やはり高級感が違いました。
リーベルとシーラのドレスはとても繊細で豪華です。


小道具はガラスケース内の展示でした。
一番「おおっ!」と思ったのはアランが持っていたロゼッティの焼き絵が付いたペンダントで、ロゼッティに似ているという設定のメリーベル役の華優希さんのスチール写真がちゃんと付いていました。


ドン・マーシャルとマルグリットの本もありました。
ドンが書いた『ランプトン』の表紙には『Lampton/Don Marshal』。
マルグリットが書いた『グレンスミスの日記』は『Glenn Smith’s Diary/Marger te Hessen』。
『グレンスミスの日記』の方は古さを出すために文字がかすれているという凝りよう。
ただ、水を差すようですがマルグリットの本は日記そのものではないので、古くはないはずですけど?
設定が違うのかな。


小道具はこの他に、エドガーが手にしていたバラの花、水車、ビルが老ハンナに打ち込んだ杭、ニンニクを吊るした縄、十字架、メリーベルを撃った銃と銀の弾、パレードで出演者が持っていたシャンシャン、それに台本がありました。


会場を出たところにはフォトスポットが。
用意されていたパネルがこちら。

 

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明日海エドガーと柚香アランの間に立って写真を撮れるんですけど、そんな恐れ多いこと、私には無理!
同じ気持ちの方が圧倒的に多かったからか(実際、立っている方を見たのは2人くらい)、友人が後日行った時にはエドガーとアランがぴったりくっついていたそうです。


★★★★★★★★★


原画展の図録(公式記念BOOK)には、萩尾先生、脚本・演出の小池修一郎先生、明日海さんの鼎談が載っています(『flowers』2018年2月号と3月号に掲載されたものの再録)。
これは制作発表会後に行われた鼎談で、はじめに萩尾先生と小池先生が対談されていて、途中から明日海さんが加わられたようです。


この時点ですでに萩尾先生は宝塚版にかなり期待を寄せていらっしゃいますが、実際に観劇されてからは完全に虜になられ、その素晴らしさを色々なところで口にしておられます。


図録に収載されているインタビューの中でも「舞台をご覧になって、作品に変化はありましたか?」という質問に「描くエドガーが全部、明日海りおさんの顔になってしまったことです」と。
そうそう、「このエドガー、明日海さんでしょ」っていう絵が結構あるんですよね。


極め付きは『演劇界』2018年6月号(演劇出版社)に掲載された夢枕獏さんのエッセイの挿絵。
何せエッセイのテーマが宝塚の「ポーの一族」なので、これはもう完全に明日海エドガーと柚香アラン。
原画展にも出展されていて図録にも載っています。


原作を心から愛する方が創った舞台を、原作者が心から愛している。
原画展に来場された方の中には、舞台化が決まって初めて「ポーの一族」を知って原作を読んだという宝塚ファンの方もいらっしゃるでしょう。
反対に原作ファンでこれをきっかけに初めて宝塚を楽しんだ方や、この会場でふれて興味を持った方もいらっしゃるはず。
私がこのゾーンにいた時に、舞台をご存じないと思われる若い女性が一目見るなり「メリーベル可愛い!」と声を上げていらしたのが印象的でした。
原作と舞台との、幸せな関係を見た思いです。


★★★★★★★★★


原画展の他のゾーンのレポートはこちらです。

(55)松屋銀座「デビュー50周年記念 萩尾望都 ポーの一族展」に行ってきました - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

 

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