遅ればせながら明けましておめでとうございます。
今月は新年のごあいさつ代わりに(?)「トーマの心臓」連載時のイラスト集をお届けいたします。
時系列で並べて前半・後半に分けました。
どうぞお楽しみください ♪
*特に記載のない限り出版元は小学館です。
*古い雑誌のコピーの画像ですのでコンディションは良くありません。どうぞご了承ください。
*このイラスト集はファンの方に個人的に楽しんで頂きたいと思って作りました。萩尾先生ならびに出版元様より削除のご要請がありました場合は速やかに削除いたします。
●『週刊少女コミック増刊フラワーコミック』1974年春の号
「『トーマの心臓』(仮題)
週刊少女コミック19号(4月12日発売)より新連載!
ご期待ください
●萩尾先生の新しい世界が始まる…」
「3月ウサギが集団で」の扉裏に掲載された新連載予告で、タイトルが「仮題」とされています。
この予告の上部分はエドガーのピンナップになっていました。
ページ全体の画像は記事「(24)『ポーの一族』イラスト集~綴じ込み付録①」でご覧頂けます。
同じ増刊号に載った予告カットです。
こちらは「仮題」とは書かれていませんね。
●『週刊少女コミック』1974年18号
連載開始の前号に掲載された1ページ予告です。
文は
「萩尾望都先生はじめての週刊誌れんさい!!
思春期の少年の微妙な心の動きを描いて
週刊少女コミック19号(4月12日発売)より堂どう登場
自殺した少年トーマの置き手紙をみたユーリは、ギョッとした。
トーマへの冷たい仕打ちにもかかわらず、ユーリを愛していたトーマは、自分で死ぬことによってユーリの中に生きようとしていたなんて…。
そんなある日、ユーリの前に現われた転校生エーリクは…」
こちらも前号に載った予告で、1ページの3分の2ほどのスペースが使われています。
絵は1ページ予告の一部に別のカットを組み合わせたものです。
文は
「注目の新れんさい ついに実現!
とざされた少年の“心”の世界を、詩情豊かに描く、堂どうの大長編力作!
あなたの心にそっと忍びこむ………」
当初は「大長編」になる予定だったんですよね。
それがまさか、先生と編集部の間であのような攻防になるとは…。
このあたりの事情はエッセイ「しなやかに、したたかに」に綴られています。
(『思い出を切りぬくとき』文庫版 2009年 河出書房新社所収)
●『週刊少女コミック』1974年19号(連載第1回(全33回))
記念すべき連載初回の表紙カットです。
約9×6センチの大きめサイズです。
●『週刊少女コミック』1974年20号(連載第2回)
連載第2回の表紙カット。
細部まで丁寧に描き込まれた美しい絵なのですが、サイズが約3.3センチ四方と小さくて残念でした。
●『週刊少女コミック』1974年21号(連載第3回)
綴じ込み付録の「れんさい記念ピンナップ トーマは生きている」。
少し見えにくいのですが左下にトーマの詩の一節が書かれています。
「人は二度死ぬという
まず 自己の死
そして後
友人に忘れ去られることの死
――トーマの心臓から――」
この絵は描き直されたものだったようです。
昨年銀座で開催された「ポーの一族展」で、ユーリ、オスカー、エーリクが描かれた横長の未発表イラストが展示され、図録p. 162 に収載されています(展示は銀座会場のみ)。
波津彬子先生のお姉様の故・花郁悠紀子先生が萩尾先生から贈呈されたもので、波津先生の次のようなコメントが付いています。
「花郁悠紀子は1年間ほど萩尾望都先生のアシスタントをしておりました。
『トーマの心臓』を描かれていた頃です。
『週刊少女コミック』の口絵用に描かれたものです。
これは伝え聞きですが、描いたあとで編集部から『遠景の入った絵にしてくれ』と言われて描き直したため、この絵は使わなくなったそうです。」
図録の絵がボツになって上の絵が新たに描かれたのでしょう。
●『週刊少女コミック』1974年24号(連載第6回)
「トーマの心臓」は開始当初の読者アンケートの結果が悪かったので、第6回からテコ入れのために扉絵の原画が読者にプレゼントされました。
その告知です。
「トーマの心臓 原画プレゼント 毎週1名
『トーマの心臓』のとびらの原画を連載の続くかぎり毎週毎週あなたにプレゼント!
『トーマの心臓』の感想をはがきにかいて送ってね。
その他 応募者の中から抽選で毎週50名にモーサマのサイン入り絵ハガキプレゼント!」
こうして扉絵の原画は幸運な読者の方々の手に渡り、所在がわかったもののうち7枚が「ポーの一族展」にて特別公開されました(図録には6枚のみ掲載)。
サイン入り絵葉書は絵柄が3種類あり、絵は印刷でサインだけ直筆だったそうです。
この告知は「トーマの心臓」の本編内に挿入されました。
裏写りが激しくて申し訳ないのですがページ全体の画像もどうぞ。
お手持ちのコミックスの同じページと見比べると面白いですよ。
●『週刊少女コミック』1974年25・26合併号(連載第7回)
同じく原画プレゼントの告知です。
薄くて読みにくくてすみません。
「トーマの心臓に おてがみだして表紙原画もらおう!!
はじめての週刊連載もードキドキ セッセセッセ
おもしろい? つまんない? 女学校のほうがすき?
だ だ だからハガキにあなたの感想かいて送ってね
あてさき 小学館 少女コミック トーマの心臓 表紙原画プレゼント係!!
毎週一名様に原画 50名様に絵ハガキ」
時代が違うとはいえ、後世に残る名作なのに始めはこんなにご苦労されたとは驚きですよね。
ページ全体の画像もどうぞ。
●『週刊少女コミック』1974年28号(連載第9回)
綴じ込み付録の「少女コミックにんきものロマンシール」です。
糊は付いていません。
●『週刊少女コミック』1974年29号(連載第10回)
「トーマの心臓」と「11月のギムナジウム」の関係についての先生のコメント。
本編内に挿入されました。
右端の絵は逆さまの自画像です。
「読者のかたへ
1971年に発表した『11月のギムナジウム』と、この『トーマの心臓』のキャラクターが同一のため、2作品の間に関連があるのでは?という多数のお手紙をいただきましたが、ストーリーのうえでは全く関係ありません。
その当時はページの都合上、『11月……』のほうをかいたのですが、ストーリーは、『トーマ……』のほうが以前に構成されてました。
萩尾望都」
●『週刊少女コミック』1974年31号(連載第12回)
本編の冒頭に挿入された、あらすじと主要登場人物紹介です。
文章は先生が書かれたのかなと思います。
「あらすじ
春まぢか、一通の遺書をユーリに残して、トーマは自殺!
彼(トーマ)の死はユーリの心に深く影を落とした。
ユーリの親友オスカーはマザ・コンの転入生エーリクを町へ連れだした。
エーリク
トーマの死後転入してきたトーマにうりふたつの少年
オスカー
ユーリの親友
トーマ
ユーリに愛を告げた手紙を残して自殺した少年
ユリスモール(ユーリ)
きまじめな委員長だが何か過去に秘密がありそう」
全体の画像はこちら。
●『週刊少女コミック』1974年32号(連載第13回)
連載中、唯一の表紙です!
エーリクとオスカーに目を奪われますが、その下を見ると
「〈フラワーコミックス〉
ポーの一族①②③
サイン入り セットでプレゼント!!」
豪華なプレゼントですね。
この号には作家さんからの暑中見舞も載っていました。
なぜかこのエーリクの絵は後に「ポーの一族 エディス中編」の予告カットに流用されました。
入稿が間に合わなくて先生が「これで代用してください」とおっしゃったのでしょうか?
それとも返却されずに編集部に保管されていた原稿が再利用されたとか?
こちらも同じ32号。
毎週見開きで載っていた「少コミまんが家ホットジョッキー」の右ページです。
「にがお絵教室」が興味深いですね。
「ポーの一族展」でも展示されましたが残念ながら図録には載っていません。
似顔絵の左の「表紙のおしゃべり」は表紙のイラストについての先生のコメントです。
「今週号の表紙、いつもと少し、違うでしょ。
そう、この表紙、まわりを切ればステキなピンナップになるのよ。
オスカーとエーリクを、あなたのおそばにってわけ。
たいせつにしてネ!
(萩尾望都)」
更にその下の「近況報告」コーナーにも萩尾先生のコメントがあります。
「次週33号は、カラー増ページの『トーマの心臓』どうぞお楽しみにネ!(萩尾)」
*「トーマの心臓」イラスト集は後半に続きます。
(61)「トーマの心臓」イラスト集② - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記