亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

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(57)フラワーコミックススペシャル『ポーの一族 ユニコーン』

イベント続きで後回しになってしまいましたが、7月に小学館より「ユニコーン」のコミックスが刊行されました。

 

ポーの一族 ユニコーン (1) (フラワーコミックススペシャル)

 

皆様、もうとっくに読まれたことでしょう。
コミックス版『春の夢』と同様に全扉絵収録、表紙の絵や予告カットもほとんど載っていて嬉しいですね。


しかもパラパラと見たら加筆されているではないですか!
そこで掲載誌と比べてみると、「Vol. 2 ホフマンの舟歌(バルカロール)」に加筆やセリフの変更が沢山あったのでまとめてみました。
ちなみにVol. 1、3、4 は表記の変更だけでした。


・* Vol. 2 前編 *・


まずは冒頭に、エステルがサルヴァトーレとの思い出にふける場面が2ページ分追加されました。
ゴンドラに乗る2人はロマンチックな恋人同士。
この絵が入ったことで、コンサートの後でサルヴァトーレがエステルを訪ねてくる(と言うか勝手に家に入っていたんですけど。壁抜けできるんですか?)場面が、より切なく感じられました。

 

そしてエドガーとアランが久しぶりにブランカに会う場面。
先に掲載誌と同じこのコマがあって、

 

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その後、掲載誌ではブランカのセリフがこうだったのが…

 

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小学館『flowers』2018年8月号より)


コミックスではこうなりました。

 

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「13年もたつんだから」が「13年…いえ14年も~」に変わっていますね。
上のコマでエドガーが「13年…ぶり…? 最後はパリで会ったっけ? 終戦の時に…」と言っていて「※第2次世界大戦は1945年終戦。」と注記が付いています。
Vol. 2 は1958年の話なので確かに13年ぶりの再会です。


でも「春の夢」でブランカがヴァンピールに変化したのは終戦前年(1944)のパリ解放直後なんですよね。
それでセリフが「13年…いえ14年も~」に修正されたのでしょう。


これは言い換えると、「春の夢」のラストでエドガーとアランがパリに向かったのはブランカが変化してすぐの44年なので、ブランカに会ったかどうかわからないということですよね。
でも翌年2人はまたパリに行って、その時は会っていたわけです。


実は私、掲載誌で読んだ時にその辺りが「?」だったんです。
で、変だなと思いつつも記事(38)のVol. 2 前編の感想の中で「エドガーとアランがブランカに会うのは終戦の時(1945年)にパリで会って以来――つまり『春の夢』のラストでパリに行って以来」と書いていたのですが…。
修正で別々の出来事だとわかってスッキリしました。
まあ、そんな細かいこと気にするなって話ですけど。


・* Vol. 2 後編 *・


後編はコンサートの場面が3ページ分追加されました。
歌うブランカとか、オーボエを演奏するガロ神父とか、別れの言葉を交わすダンと母とか。
今回は歌わなかったけど、いつもはサルヴァトーレが去った女を恋うる歌「カタリ・カタリ」を歌うこともわかりました。
サルヴァトーレ、そんなにもエステルのことを…。


そしてエドガーがベルナドットと対面する場面は加筆だけでなくセリフの変更もありました。
私が「おっ」と思ったのは、掲載誌ではこうだったのが…

 

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(同『flowers』2018年9月号より)


こうなったこと。

 

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掲載誌ではエドガーはベルナドットに対して、この時だけ「私」と言って後は「ぼく」でした。
旧作を含めてエドガーが「私」という言葉を使ったのは初めてで新鮮だったんですけど、先生がやっぱりエドガーに「私」は似合わないと思われたのでしょうか。
じゃあ「秘密の花園Vol. 1」での「私」もコミックスでは変わるのかな。


同じ場面では他にローマ皇帝の名前が変わって注記が付き、加筆に伴うセリフの変更もありました。


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コミックスを読んで改めて気になったことも。


Vol. 1 で、かつて老ハンナの館があった一帯が今は「グール(怪物)の丘」と呼ばれているということですが、グールとはどんな怪物なのでしょう?
館が村人に襲撃された時、瀕死のポーが変化してグールになったのでしょうか。
エドガーは目覚めた時にグールの姿に変わっていたと言います。
まだ戻っていないというエドガーの指先は今後の話にどう関わってくるのでしょうか。


また、エドガーが「少しイギリスから離れたかった」のは、どうしてでしょう?


Vol. 4 では、やはりバリー=ダイモン(名前がいくつもある人なので、このブログでは今のところこう呼んでいます)の塔が気になります。
兄を取り戻すために造っているのでしょうが、儀式か何かの生贄としてアランかエドガーが必要なのか?
だとしたら怖い…。
でも、その答えがわかるのは当分先になりそうですね。
まずは「秘密の花園」の続きを待たないと。


◆◆・*・◆◆・*・◆◆


このコミックスの発売時にはテレビCMも流れて話題でした。
ナレーションは宝塚でシーラ役を演じ、すでに退団された仙名彩世さん。
シーラがナレーションしてる!と感激しました。
小学館様、次の『秘密の花園』刊行の際には、ぜひ仙名さんと明日海りおさんのお2人によるナレーションでよろしくお願いします。 

 

  ↑ Amazonでは『ユニコーン(1)』となっていますが(1)はありません。