亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

*盛大にネタバレしております。記事を探すにはトップのカテゴリー一覧からどうぞ 

(62)オスカーの系譜を辿ってみました

トーマの心臓」のオスカーと言えば、ハンサムでカッコよくて頭もよくて機転がきいて統率力があって、しかも優しくて頼りになって…(以下エンドレス)
とにかく魅力的なお方ですね。

 

f:id:mimosaflower:20200209222556j:plain

(『萩尾望都パーフェクトセレクション2 トーマの心臓Ⅱ』2007年 小学館より)


「トーマ」にオスカー・ライザーとして登場するまでに色々な作品に出演していたことは皆様よくご存じの通り。
そこで今回は「トーマ」に至るまでの系譜を辿ってみたいと思います。


その前に、まずは「オスカーにモデルはいるのか?」という話から。
萩尾望都作品目録」様の2015年4月17日付のニュースに萩尾先生の言葉がありますので引用させて頂きます。
スタジオライフ創立30周年記念DVDに収められているメモリアルトークの中で、「オスカー・ライザーのモデルになった人はいらっしゃるんでしょうか」という問いに、こう答えられています。


「顔はですね、若い頃のポール・マッカートニーが好きだったんですよ。
眉のつり上がり具合がすごく良くて、ポール・マッカートニー
それから顔を半分隠すあたりは、サイボーグ009から来てるんじゃないかと。
ちょっと拗ねてるところは、ジェームス・ディーンとかのアメリカ映画の青春群像の中から来ているんじゃないかと。」


(引用元はこちらです。他にもユーリのモデルやタイトルの意味などをお話しされていますので「トーマ」ファンの方はぜひどうぞ ↓)

スタジオライフ「トーマの心臓」DVDに収録された対談に萩尾先生が出演されています。 - ニュース:萩尾望都作品目録


ああ~、ポール・マッカートニーに009にジェームス・ディーンですか!
なるほど納得です。


では、そういう感じのキャラクターを古い作品から順に探していきましょう。
萩尾望都作品集』(1995年 小学館)の各作品の最後に書かれている年月を基にします。
画像も『萩尾望都作品集』から使わせて頂いています。


①「ケーキ ケーキ ケーキ」(1970年5月)クレマン

 

f:id:mimosaflower:20200209222824j:plain

 

異論のある方もいらっしゃるかもしれませんが、私はこのクレマンがオスカーの原型じゃないかと思うんですよ。
ヒロインの邪魔をする憎まれ役ではありますが、自信家のところが「11月のギムナジウム」のオスカーっぽい。
何よりも髪と、つり上がった眉がオスカーでしょ?
オスカーの癖である髪をかき上げる仕草も、ちゃんとしてるんですよ。ほらね。

 

f:id:mimosaflower:20200209222827j:plain

 

 

②「雪の子」(1971年1月)エミールの親族の少年

 

f:id:mimosaflower:20200209222848j:plain

 

一番右の少年です。
名前はないのですが顔が完全にオスカーですよね。
この4人はエミールの遊び相手として集められた親族で、全員エミールを嫌っているという役どころ。
1人ひとりの個性までは描かれていません。


③「ジェニファの恋のお相手は」(1971年1月)ロンリー

 

f:id:mimosaflower:20200209222835j:plain

 

ヒロインの相手役。
ロンリーはプレイボーイですが、魂がアリスおばあちゃんと入れ替わったジェニファを本気で好きになります。
女の子と遊んでいても本物のジェニファと数学の1席を争うほどの頭のよさや、モテるところ、優しいところがオスカーらしい感じです。


④「花嫁をひろった男」(1971年3月)オスカー

 

f:id:mimosaflower:20200209222820j:plain

 

ついにオスカーという名前になりました!
しかも主役!
花嫁姿のキャンディをハイウェイで拾って連れて帰り、事件に巻き込まれます。
コメディータッチの作品なのでコミカルな面もあり、お人好しですが、頼れる男でカッコいいです。


⑤「11月のギムナジウム」(1971年9月)オスカー

 

f:id:mimosaflower:20200209222816j:plain

 

言わずと知れた「トーマ」の姉妹編。
なので「トーマ」のオスカーと顔は同じですが性格はもっと不良っぽい感じです。
トーマと同じクラスにいたいために1年落第したという噂あり。
同級生より1つ年上で大人っぽいところは「トーマ」のオスカーと共通しています。


⑥「3月ウサギが集団で」(1972年1月)一垣一丸

 

f:id:mimosaflower:20200209222839j:plain

(2コマ目は理科の高尾先生です)


これも異論があるかもしれませんが…。
なんせ日本人だし。
でも顔がオスカーっぽいでしょ?
IQ160と言われる天才肌で、ちょっとクレイジー
話を大きく動かす面白い存在です。


⑦「みんなでお茶を」(1974年2月)助手A

 

f:id:mimosaflower:20200209222843j:plain

 

「精霊狩り」シリーズの3作目。
「トーマ」連載開始の直前だけに、何だか「トーマ」のオスカーがバイト出演してるみたいですね。
下から萩尾先生が「メガネかけろオスカー 今回はわき役なんだ カッコつけるな!」と言っています。
この作品では考古学の博士の助手で、知的でクールな印象。
チョイ役の割には出番が多いです。


-・-・-・-・-・-


さて、この後はいよいよ「トーマ」が始まり、オスカー・ライザーとして登場します。
それまでこんなに沢山の作品に出ているのを見ると先生のオスカー愛がよくわかりますよね。
役柄も性格もさまざまですが共通しているのは、ハンサム、クール、頭が切れるということでしょうか(例外もありますが)。


「トーマ」で魅力が爆発して人気キャラクターの地位を確立したオスカー。
その後登場したのは関連作品だけのようです。
せっかくなので、その姿もご覧ください。


①「湖畔にて~エーリク 十四と半分の年の夏~」

 

f:id:mimosaflower:20200209222602j:plain

 

(『ストロベリーフィールズ』1976年 新書館より)


「トーマ」最終回後の夏休みのエピソード。
少し大人っぽく、たくましくなっています。


②「訪問者」

 

f:id:mimosaflower:20200209222608j:plain

(『萩尾望都パーフェクトセレクション2 トーマの心臓Ⅱ』2007年 小学館より)


シュロッターベッツに転入するまでの物語。
小さいオスカーがひたすら健気です。


なお、漫画ではありませんが、スタジオライフ創立30周年を記念して先生がイラストを描き下ろされ、その一部が上でご紹介したDVDのパッケージに使われているそうです。
引用元の記事内に画像があります(あのマフラーをしています)。


また、先生のお好きなビーズにまつわるコミック・エッセイ集『夢見るビーズ物語』(2009年 ポプラ社)にもイラストがあります。


絵はすっかり変わりましたが、先生にとってオスカーは今でも愛着のあるキャラクターの1人なのでしょうね。


-・-・-・-・-・-


過去に書いた「訪問者」の感想です。もしご興味がありましたらどうぞ。

(22)オスカーの涙 - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記