亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

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(72)フラワーコミックススペシャル『ポーの一族 秘密の花園1』

先月、フラワーコミックススペシャル『ポーの一族 秘密の花園1』が刊行されました。

 

ポーの一族 秘密の花園(1) (フラワーコミックススペシャル)

 

『flowers』に連載されたVol. 1 から5までが収録されています。
扉絵も載っていて嬉しいなあと眺めていたら、あれ?Vol. 4がなんか違う…。
そこで掲載誌の扉絵をもう一度見てみると

 

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小学館『flowers』2020年10月号より)


これがコミックスでは

 

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おお! 白いクジャクの周りが華やかになっている!
これは光でしょうか。
そして回廊の向こう側にスクリーントーンも足されています。
「天国の庭」の幻想的な雰囲気が増しましたね。


他にも絵が変わっているところがあるのかなと探してみると、変わったというか描き加えられたコマがVol. 1 にありました。


こうだったのが

 

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(同2019年7月号より)


このように。

 

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あとはVol. 5で背景にスクリーントーンが貼られたコマもありました。


文字では名前の訂正が2つありました。


1つはエドガー達の後見人の名前です。
Vol. 1 では「ウィンクル」、Vol. 2で「ウインクル」だったのが「ウィンクル」に統一されました。


もう1つはVol. 3で、なぜか「クロード夫人」となっていたところが「グレース夫人」(アーサーの曾祖母)に訂正されています。


セリフではVol. 3でアーサーの「何かの采配だったのだろうか?」が「何かの配剤だったのだろうか?」に変わりました。


実は私、密かに注目していたセリフがあったんですよ。
それがVol. 1 のこちら。

 

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エドガーが「私」と言っていますよね。
ユニコーン」でもエドガーが1度「私」と言ったことがあって、旧シリーズも含めて初めてなので新鮮だったのですが、コミックスでは別の言葉に変更されました。
だからこのコマの「私」も、もしかしたら変わるのかなと思っていたのですが、今回はそのままです。


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改めてVol. 1 から5までを通して読んで私が強く印象に残ったのは、バンパネラとしてまだ一人前になりきれていないエドガーの不安定な心でした。


一族に加わって以来125年を共に過ごし守ってくれていた男爵夫妻とメリーベルが消滅してから、まだ9年。
今になってわかる男爵夫妻のありがたみ。
決して消えることのないメリーベルを失った悲しみ。


シルバーに必死に抵抗するエドガーを見ていると「ペニー・レイン」での不安や心細さに押し潰されそうだった姿が思い出されて、この「秘密の花園」は時系列では「ペニー・レイン」「リデル・森の中」の次に位置する作品なのだと改めて気づかされました。


9年たってもエドガーには自分自身や一族について知らないことが色々あるのに、頼れる者がいない。
それでもアランを仲間にした以上、自分がアランを守らなくては。
そのためには人間の助けも借りよう。
人間と長く一緒にいるのは危険だと、わかってはいるけれど――。


男爵達といた頃、エドガーはずっと人間に戻りたくて孤独でした。
最愛のメリーベルに対しては、人間でいた方が幸せだったのに自分が仲間に加えてしまったという罪の意識が大きかった。


アランと2人になってからは孤独ではなくなったけれど、人間に戻りたいという気持ちを知らず知らずのうちに閉じ込めていたのではないかと思います。


でもクエントン館で過ごすうちにエドガーはアーサーに惹かれていきます。
それはエドガー自身のせいとはいえ大切な人を失った悲しみに共感しただけでなく、アーサーがとても寂しい人に思えて、どこか懐かしさを覚えたからかもしれません。


けれど人間に惹かれれば、人間に戻りたかった気持ちを思い出してしまうことになるでしょう。


眠っているアランに「アラン…やっぱり人間のところに長くいるのは よくない… どんどん人間に……ひかれてしまう…」と語りかけるエドガー。
その顔は揺れる心を映して切なそうに見えました。

 

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秘密の花園」の連載が再開されるのは来年の春。
ここまでで気になる点が沢山あるので、備忘録を兼ねてまとめてみました。


①ブラザー・ガブリエルの謎

本当に普通の人間なのか。

なぜフィレンツェで死んだと思われていたのか。

なぜ15年ぶりに館を訪れたのか。

エドガーとメリッサの話をしていた時に言い淀んだことは何か。

館に出る幽霊がメリッサの霊と知っていたのか。

エドガーがブラザーのエナジーを奪った時、記憶が入り込んだのはなぜか。


②メリッサの謎

最後にブラザーと会話してから亡くなるまでに何があったのか。同じ服を着ている意味は? 本当に自殺か。

エドガーに囁いた「ひとつだけ お願い」とは何か。


③眠り病の謎

アランの眠り病は、ポーの村の住人のそれと同じなのか(アランは気のヒフが薄いため?)

眠っている間の意識はどうなのか。

眠っている間のエナジーはどうなのか。目覚める時は、どういう状態か。

ルチオの眠れない病と関連があるのか。


④その他

エドガーの催眠術は今後どんな役割を果たすのか。他にも特別な能力があるのか。

エドガー達の後見人ウィンクル氏とは何者か。

ロンドンにいる主治医とは何者か。そもそも実在するのか。

犬のフォルテがアランの眠っている小屋までついて来たのは何かの伏線か。

パトリシアがランプトンの絵を「思い出の絵」と言うのはなぜか。

切り裂きジャックは物語にどう絡んでくるのか。


ざっと書き出しただけでも、こんなにありました。
秘密の花園」は長編になるのかな。
早く続きが読みた~い!


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この『ポーの一族 秘密の花園1』には「ポーの一族」のショート番外編「月曜日はキライ」(4ページ)と、「大英博物館 マンガ展 探訪記」(3ページ)も収録されています。


「月曜日はキライ」は、やっぱりアランが「秘密の花園」で眠りっぱなしなのでファンサービスで描いてくださったのでしょうか。
大英博物館 マンガ展 探訪記」は2019年に大英博物館で開催されたマンガ展のレポートです。


そして番外編と言えば、12月28日(月)頃に発売予定の『flowers』2月号にも「火曜日はダイエット」という番外編が掲載されるそうですよ ♪
わーい嬉しい! 楽しみ!
誰がダイエットするんだろう?
何かと慌しい年末ですが、忘れないようにしなきゃですね。


そうそう、コミックスの発売日に合わせて今回もCMが流れましたね。
皆様、ご覧になりましたでしょうか。
前回の『ユニコーン』のCMのナレーションが宝塚版シーラ役の仙名彩世さんだったので、今回は明日海りおさんかもと期待していたら、やっぱりそうでした。
エドガーの声にいざなわれる「秘密の花園」、素敵でした~♪


小学館様、ありがとうございました!
次回も期待しております。
できれば可憐で儚げながらも芯の強いメリーベルそのものだった、華優希さんにお願いして頂けると嬉しいです ♪