亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

*盛大にネタバレしております。記事を探すにはトップのカテゴリー一覧からどうぞ 

(77)「秘密の花園 Vol. 6」

例によって盛大にネタバレしております。ネタバレNGの方は申し訳ありませんが作品をお読みになってから、ぜひまたいらしてくださいね ♪


始まりましたポーシリーズ「秘密の花園」!
7か月ぶりに連載再開、今回はVol. 6 です。


こちらは掲載誌の表紙。

 

f:id:mimosaflower:20210506162356j:plain

小学館『flowers』2021年6月号より)


アーサーが描いたランプトンの絵は3枚目が椅子に座って本を読むポーズなので、その制作中の1コマといったところでしょうか。


エドガーはVol. 4 で3枚目の絵のモデルをしていて、その時に読んでいた本は『カンタベリー物語』でしたが、この本は違うようですね。
題字がはっきり見えないのですが「S」と読めるような。
シェイクスピア


嬉しいことに今月号の『flowers』はA5サイズのクリアファイル付き!

 

f:id:mimosaflower:20210506162212j:plain
f:id:mimosaflower:20210506162220j:plain

 

絵柄は表と裏でVol. 2 の扉絵です。
Vol. 2 の感想にも書いたのですが、私はこの絵を「いばら姫」や「眠れる森の美女」みたいだなあと思っていまして。


眠りの時季に入ったアランを守るためイバラを切り開いて戦うエドガー。
襲いかかるバラは、ポーの村や人間などアランを脅かす全てのもの。


あるいは1976年以来、炭のような状態で眠り続けているアランを必死に復活させようとするエドガー。
バラはバリー=ダイモンやフォンティーンか。


そして前月号に載った今月号の予告カットがこちら。

 

f:id:mimosaflower:20210409170103j:plain

小学館『flowers』2021年5月号より)


上のVol. 2 扉絵の中世風コスチュームが、「秘密の花園」の時代である19世紀末のコスチュームに変わったような感じです。


そして今回の扉絵は

 

f:id:mimosaflower:20210506162344j:plain

小学館『flowers』2021年6月号より。以下同)


おおお! エドガー、なんか神々しい。
これは予告の絵のマントを広げた姿でしょうか。
アランは無事に眠りから覚めたんですね。
今月号はアランが本編に全く登場しないので、この美しい扉絵が嬉しいです。


・*・・*・


では、そろそろ本編の感想に参りましょう。
今回はアーサーとパトリシアの恋愛模様と、招かれざる客の話でした。


1889年の年明けに、パトリシアがロンドンから突然アーサーを訪ねて来ます。
聞けば夫のオリバーに前々から愛人がいたことがわかり、大ゲンカの末に家出してきたとか。
オリバーの顔の引っかき傷は、やっぱり女性が原因だったんですね。


パトリシアは離婚したいと言い、アーサーへの想いをぶつけます。
新たにわかったことが2つ。


①祖父母がパトリシアとアーサーの結婚を申し込みに行ってメリッサに断られたことを、パトリシア本人も知っていた。


②パトリシアはアーサーに「愛している。結婚したい」という手紙を書いたがアーサーの手に渡らなかった。
メリッサが気づいて捨てたんでしょうか?


これを受けてアーサーも「ずっとずっと愛している きみ以外の女性がぼくの心に住んだことはない…」と、ついに告白。
そしてプロポーズ。
幸せの絶頂にいる2人。
ところが、そんな2人をどん底に突き落とす人物が!


その人物とは、パトリシアの兄のパトリックが経営する商社に転職してきたダニー・ダム。
アーサーと同じケンブリッジ大に在籍していたことがあり、アーサーのことをよく知っている様子。
はじめのうちは好意的なことを言っていましたが、いきなり爆弾を落としました。


10年前、ダニーの姉のダイアナはケンブリッジでピアノ教師をしており、アーサーにも教えていた。

ダイアナはアーサーの子を身ごもり、2人は婚約。

しかしダイアナは流産して亡くなった。

ダイアナの家族が恥だと言って来なかったのでアーサーが葬式を出し、ダニーと2人で埋葬した。


この衝撃的な話をアーサーも認めたものだから、パトリシアはショックを受けて去り、絶望したアーサーは前にエドガーがしたように池に飛び込んで叫びます。


「もう人間でいるのはいやだ
ぼくはエルフになる」


これ、重要なセリフですよね?
ポーの一族への第一歩!


犬のフォルテに助けられて命拾いしましたが、そもそもダイアナの一件はアーサーにとって大した出来事ではなかったのではないでしょうか。
そうでなければダニーに再会した時、たとえ相手が10年前に一度会ったきりだとしても、今は髭を生やしていたとしても、誰だか思い出しそうなものです。


エドガーが言うように当時の貴族はそういう場合、お金で解決するのが常だったのでしょう。
アーサーは少なくとも本気ではなかった。
だからパトリシアに言った「きみ以外の女性がぼくの心に住んだことはない」という言葉も、本人的には嘘ではなく本心だったのだろうと思います。


・*・・*・


アーサーをひどい男と見ることもできますが、ダニーの話もちょっと胡散臭いところがありますよね。
ダイアナのことを「美人でやさしくて…彼女も人気者でした」と言っていますが、アーサーの回想の中のダイアナはお世辞にも美人とは言えません。
子どもができたと言って結婚を迫っているし。


ダニーは一見誠実そうで実はアーサーから大金をせしめようという魂胆。
転職先の経営者であるパトリックがアーサーの親戚だと知って、始めからゆすり目的で来たんでしょうね。


ダニーの話で気になるのは、ダイアナの死について「流産して…それで亡くなったんです」と言う一方で「急でした…元気だったのに」とも言っているところ。
何だか変だなあと思っていたら、最後にエドガーがアーサーに「あなたは…ピアノ教師を殺したの…?」。
まさかアーサーが直接手にかけたとは思いませんが、何があったのでしょうか?


・*・・*・


今号で他に気になるのは、まずメリッサの霊。
息子のアーサーを苦しめに来たダニーを転落死させてしまうとは。
ということはエドガーに「ひとつだけ お願い」と囁いたのは、アーサーを守ってほしいとか、そういうことだったのかな。


ふと気づいたのですが、こちらのコマ ↓

 

f:id:mimosaflower:20210506162404j:plain

 

背景に光のようなスクリーントーンが貼られていますよね。
このスクリーントーン、このコマだけでなく前後のエドガーとダニーが話している場面にずっと使われているんです。


それからここにも

 

f:id:mimosaflower:20210506162409j:plain

 

ここにも

 

f:id:mimosaflower:20210506162413j:plain

 

 

前にブラザー・ガブリエルがお清めをしている場面でも見たような気がするし、もしかしてこの光のようなものはメリッサの霊の存在を表しているのでは?


そう思って単行本の1巻を見てみると、やはり幽霊に関する場面に使われていました。
ただ、Vol. 1では関係なさそうなところにも貼られているのですが…。


メリッサの強すぎる愛がアーサーを救うのか、それとも逆に破滅へと導くのか気になります。
個人的にはエドガーとメリッサが対話するところが見たい。


エドガーは人間達を冷静に観察していますね。
ダニーが金銭目的だと見抜いたのは、さすが。
ダニーが転落した音を聞いても落ち着き払って「なんでもありませんよ」と言っていますが、何が起きたのか知っていたのかな。


そして、ついにマルコが疑念を抱き始めましたね。


「去年から あのランプトンが現れてから 死者が多すぎる」


エドガーとアランが館に来たのが9月1日。
それから1月までに亡くなったのが、パトリシアの祖父、祖母、ブラザー・ガブリエル、ダニーと、これで4人目。
確かに普通じゃない。
この疑念は何かを招くのでしょうか。


最後に、今号で一番楽しかったのはパトリシアの両親が登場したこと。
父・母・兄と3人同じ顔で笑いました。
いやあ、パトリシアが両親に似なくて本当に良かった。
もし似てたらストーリーが変わっていたし、アーサーもポーにならなかったかも?


そんなこんなで不穏な空気をはらみつつ、次号へ続く。
どうなるんでしょうか? 目が離せません!


・*・・*・


秘密の花園」Vol. 1から5 までの気になることをこちらにまとめています。もしよろしければどうぞ

(72)フラワーコミックススペシャル『ポーの一族 秘密の花園1』 - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記


各話の感想はお手数ですがカテゴリー一覧からご覧ください

ポーの一族 カテゴリーの記事一覧 - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記