亜樹の萩尾望都作品感想ブログ

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(79)「秘密の花園 Vol. 8」

今回も思い切りネタバレしております。ネタバレNGの方は申し訳ありませんが作品をお読みになってから、ぜひまたいらしてくださいね ♪


前回、アランがホラー映画のように目を開けるという衝撃的なコマで終わった「秘密の花園」。


ど、どうなる!?
もしや珍しい狩りの場面が展開されるのか!?
おののきつつも、いやいや「花の中のランプトン」の絵はまだ仕上がっていないようだからアランはまた眠ってしまうだろうとタカをくくっていた私ですが…


甘かったです。
まさか絵が前日に完成していたとは。


という訳で(?)今号の扉絵はこちら。

 

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小学館『flowers』2021年8月号より)


物語の中にタイトルが組み込まれたスタイルです。
緊迫感が途切れなくて良いですね。


・*・・*・


で、アランですよ。
私の予想を上回る迫力で、ひえ~っと驚きながらも、目が光っているコマとかフォルテに噛まれて流血する首を両手で押さえている正面向きのコマとか、いいなあと思って見てしまいました。


狩りの場面というと旧シリーズでは美しい印象が強かったのですが、新シリーズは違いますよね。
特に「春の夢」のエドガーと今回のアランは怖い。


勝手な想像なのですが「春の夢」のエドガーはブランカの視点で、今回のアランはポールとポーラの視点で見たリアルなモンスターとして描かれているからかもしれません。
それに比べるとパトリシアの祖父母やブラザー・ガブリエルを襲う場面は読者目線なのでモンスターになっていないのかも。


エドガーが妹思いのポールを脅すところは、「メリーベルと銀のばら」で儀式を目撃したエドガーを一族がメリーベルを人質にして脅していたのを思い出しました。


・*・・*・


ケイトリンの過去もびっくりでしたね!
前号で登場した時、普通の人間と違う感じがして始めは「もしやポー?」と疑ったのですが「村から逃がしてもらったのだからそんなはずはない」と、これまたタカをくくってしまい…甘かったです。


そういえばVol. 4 の予告に「そして訪れる村からの使者。」という一文があって「ブラザー・ガブリエルが登場したけど村からの使者じゃないよね~?」と不思議に思っていたのですが、あれはもしやケイトリン登場のフライングだったんでしょうか。


それからシルバー。
9月からずっとレスター駅の近くのホテルに滞在していたんでしょうかね?
そこでエドガーを見張りつつケイトリンを看護助手としてクラウディア先生のもとに送り込み、パトリシア一家に近づけて里帰りに同行させたと?


何と手の込んだことを!
さすが古参のポー。


そうなるとつい気になってしまうのがホテルの高額な宿泊費と諸々の経費。
これ旧シリーズからの謎なんですけど、もしかして錬金術でも使えるのかな。
それかエドガーも使っていた催眠術?


まあ、それはさておきシルバーは犬を使うんですね!
新事実。


そして吠える犬に怯えるアラン。
ああ~、やっぱり!
ユニコーン Vol. 3」でアランが犬を怖がっていたのがずっと引っかかっていたのですが、フォルテに噛まれたせいだったんですね。


このこととシルバーが犬を使うことは今後別のエピソードにも関わってきそうなので覚えておかないと。
ユニコーン Vol. 1」で2016年(正確には2015年の暮れ)のアーサーはフォルテ位の大きさの犬を飼っているので、何かあるかもしれません。


なぜか何度も出てきたオオアラセイトウの花も、ついでに覚えておきます。


エドガーとアランがこれからどうなるのか、とても気になりますね。
例の「契約」が結ばれて2人は自由になるのでしょうか。


ケイトリンが村との連絡役になるのかも。
いや、そうすると「春の夢」でのエドガーとクロエの会話がおかしくなるから、それはないのか。


・*・・*・


ポールとポーラは運が悪かったとしか言いようがありませんね。


ポーラは本当に何ともないのかな。
「小鳥の巣」のキリアンみたいな単なる貧血状態だったなら大丈夫でしょうけど。


ポールは「春の夢」のアダムに続いて、またも少年の目撃者。
これがトラウマにならなければいいのですが。
アーサーは上手く収めたなと思います。


そういえばアダムは、あの後も誰にも話していないのかな。
後にキーパーソンとして登場するのではないかと密かに気になっています。


・*・・*・


さて、問題はアーサーですよね。
パトリシアとはお互いに何も言わず心の中で別れを告げました。
これで人間界への未練にひとつ終止符が打たれた、ということでしょうか。


エドガーとアランが人間でないことはすでに感じ取っていましたが、今回の件でバンパネラだと察したのか?


次回ダニーを訪ねてまた話が動きそうですが、今後どのようにエドガー達と再会して一族に加わるのか?


可能性として、後見人の弁護士・ウィンクル氏が村と通じていたと知ったエドガーが、代わりにアーサーに後見人になってもらうべく戻って来るというのもありそう。
しっかりした大人が付いていなければ少年2人で人間界を生きていくのは壁が多過ぎますから。
でもウィンクル氏との関係は続くかもしれないし、分かりませんけど。


アーサーがよく咳をしているのも気になります。
「ランプトンは語る」では「8月末に33歳でなくなっています たくさん血をはいて 後年は病気だったらしい」と言われているので、もしかして不治の病とか?


いろいろ気になりますが来月は休載で続きは10月号だそうです。
萩尾先生、楽しみにお待ちしております!


・*・・*・


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