★激しくネタバレしております。ネタバレNGの方は申し訳ありませんが作品をお読みになってから、ぜひまたいらしてくださいね ♪
「ポーの一族」の新章「青のパンドラ」の第2回、皆様もう読まれましたか?
私は「アランが盗まれる」というサブタイトルにまず動揺し、展開の早さにびっくりでした。
では早速、扉絵から!
(小学館『flowers』2022年8月号より)
メリーゴーランドに乗る主要キャラ達。
左上の端っこに小さく描かれている大老ポーの後ろ姿が何だか可愛い。
その隣の人物が男に見えて「誰? 新キャラ?」と思ったんですが、妹に「クロエじゃないの」と言われ、よく見たらスカートはいてました。
どうも老眼が進んだようです(汗)
このエドガーとアランを見ると、やっぱりこちらの絵を思い出しますよね。
(同2019年4月号より)
「ユニコーン」の連載が再開する時の予告です。
この時はユニコーンの木馬でエドガーがどこか遠くを見ている風でしたが、今回のエドガーはしっかりアランの方を見ています。
それでは物語の感想に参りましょう。
と、その前に今回は「ユニコーン」でのエピソードがちょこちょこ出てくるので、まとめておきますね。
1067 バリーがポーの村のバラを枯らして逃げる(大老がフォンティーンを閉じ込めた年の翌年)
1944 クロエがポーの村のバラを枯らして逃げる
1958 ベニスのコンサート
1963 バリーがアランをカタコンベに連れて行く
1975 バリーがロンドンでアランに会い、オペラに誘う
2016 現在
*おことわり*
「ユニコーン」の感想記事では作品に従ってベネチアと表記していましたが、「青のパンドラ」では作品内でベニスに変わったので感想でもベニスと表記します。
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ファルカの店に現れた大老ポー。
ファルカへの言葉は
「アランを助ける方法を示唆するために来た」
「ベニスにサン・ミケーレという島がある
そこで待っているからエドガーをつれて来てくれ」
アランを助ける!
ポーの村はアランを受け入れてくれないのに大老は助けると言うんですね!
やはりバリーの言う通りエドガーが大老の直系だから、エドガーの願いを聞いてやろうということでしょうか。
それとも何か別の理由があるのか?
ベニスには本島以外に多くの小島があり、サン・ミケーレ島は本島のすぐ北に位置します。
アーサーのセリフにもあるように教会と墓地しかない「墓地の島」だそうです。
それにしても、ファルカもブランカも大老に敬語を使いませんね。
それどころか不信感丸出し。
まあ2人ともポーの一族じゃないし、ブランカはロイが消えてパニックになってるし。
大老の方も何だかいきなり俗っぽく…いや、人間くさくなってませんか?
そして花を食べて消えてしまったロイ。
ロイもローラも人間じゃなくてヴァンピールになっていたんですね。
この子達も行き場のない、1人では生きられない子達だったのでしょうか。
まさか、さらって来たりはしていないと思いますが。
私はブランカが子どもの世話をするのはファルカのためだと思っていたのですが、今月号を読んでブランカもファルカと同じくらい子どもを可愛がっているんだと分かりました。
ノアを思い出したりするのかな。
子どもはすぐに消えてしまうのにエドガーは(アランも)永く生きている。
その理由は大老にも分からない。
このことも謎の1つです。
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アーサーの館ではバリーの話が続いています。
自分はアランと友達で、アランが好きだから協力するのだと言いますが…
ボートに現れたのも、カタコンベに連れて行ったのも(ほとんど拉致)、アランにとっては大迷惑。
確かにオペラの「こうもり」に誘っていましたが、本当に行ったのかな。
作り話か?
バリーからは秘薬の入った青い壺「パンドラ」に続く、驚くべき情報がもたらされました。
クロエから聞いた話によると、フォンティーンの体に絡まっているバラの根は大老が持っている「炎の剣」でのみ焼き切ることが出来る!
だからエドガーが大老に「パンドラ」でアランを元に戻してくれるよう頼む時、自分のために「炎の剣」をもらってほしい――。
「そんなの無理に決まってる」と思ったら、バリーはアランが入っているトランクをエドガーから奪い取り、「目」の中に消えました。
「剣と交換だ! それまでオレが預かる!」と捨てゼリフを残して。
ふん、やっぱりね。
そんなヤツだと思ってましたよ…。
半狂乱になったエドガーを見て「わー大変だ!」と焦りましたが、大老は何もかもお見通しでしたね。
ホッとしました。
ところで、クロエもフォンティーンを助けたいと思っていたんですね。
なるほど、バリーと望みが一致していたから、エドガーにバリーの行方を知らないと言ったわけか。
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場面が変わり、どこかの海辺にシスター・ベルナドットの姿が。
何をしているんでしょう?
「血の神」に捧げもの?
「血の神」とは?
そこへオリオンという名の若い修道士もやってきます。
はて、ここはどこ?
ベニス?
あっ、そういえば1958年のベニスのコンサートで、サルヴァトーレがルチオ一族について「いつもはリド島のボロい修道院に生息してるよ」と言ってましたっけ。
同じ時ベルナドットは「貴重な古代の予言書などの管理をしている」「20名から25名ぐらいだ」と言っていました。
とすると、多分ここはリド島で、オリオンも古書の管理をしているルチオなんでしょう。
リド島は本島の東にある大きな島です。
バカンス客が海水浴に訪れるリゾートの島。
ベネチア国際映画祭の開催地で、「ベニスに死す」の舞台でもあります。
そんな島でルチオ一族が暮らしているなんて意外な気がしますが、旅行者が多い所だと紛れて好都合なのかな。
ベルナドットはオリオンに言います。
「きっと近いうちに誰かが訪ねてくるだろう…
もしも……“あの方”なら100年ぶり…
最後に会ったのは100年以上前のコンサートの夜…」
「あの方」。
1958年のコンサートでも側近に「あの方は…来た?」と尋ねていた、「あの方」。
今は2016年なので100年以上前というと1916年より前。
一体何者なんでしょうか?
尊大なベルナドットが「あの方」と呼ぶくらいだからヴァンピール界を統べる者とか?
その人物が近々姿を現すのかな、楽しみだな~。
なんて思っていたら、ベルナドットとオリオンの前に大老が登場。
驚いたのは大老とベルナドットの互いの呼び名ですよ。
大老がイオンで、ベルナドットがベラ。
これは2人が人間だった頃の名前なんですかね?
この2人は元々ギリシャの神官と巫女だったわけですが、「イオン」も「ベラ」もギリシャ神話にゆかりのある名前のようです。
イオンはアポロン神とアテネ王女クレウサの不義の子で、「イオニア人」の呼び名の起源となった英雄。
ベラは神々の女王(ゼウスの正妻)の名前「ヘラ」から来ているのではないかと思います。
ついでに言うと、オリオンはギリシャ神話に登場する巨人の狩人です。(←美男子)
色々なことが少しずつ明らかになってきてワクワクしてきますね!
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ラストシーンはサン・ミケーレ島。
島にやってきたエドガーとファルカに大老が
「ベラが彼女の海の家で待っている
さあ“パンドラ”に会いに行こう」
なんと、もう次回に早速「パンドラ」が出てくるのでしょうか。
バリーまでちゃっかり来ているのが気になります。
気になるといえば、アーサーの隣人だった今は亡きマーガレット・チャップマン夫人も。
夫人の息子はアーサーにわだかまりを持っている。
孫のサイモンや犬のシーザーも含めて、この一家が今後どう関係してくるのか?
次回は更に驚くような展開が待っていそうですが、残念ながら来月は休載。
続きは10月号だそうです。
8月末に発売ですので、皆様、熱中症にもコロナにも気を付けて元気に発売日を迎えましょう。
萩尾先生もお元気に執筆してくださいますように!
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「青のパンドラ Vol. 1」の感想はこちら。よろしければどうぞ。
(90)「青のパンドラ Vol. 1 冷蔵庫で眠る」 - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記