亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

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(61)「トーマの心臓」イラスト集②

トーマの心臓」連載時のイラスト集の続きです。
時系列で並べていますので前半をご覧になっていない方はこちらからどうぞ。

(60)「トーマの心臓」イラスト集① - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記


特に記載のない限り出版元は小学館です。
古い雑誌のコピーの画像ですのでコンディションは良くありません。どうぞご了承ください。
このイラスト集はファンの方に個人的に楽しんで頂きたいと思って作りました。萩尾先生ならびに出版元様より削除のご要請がありました場合は速やかに削除いたします。

 


『週刊少女コミック』1974年36号(連載第17回)

 

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裏写りしていて申し訳ないのですが、あらすじと主な登場人物紹介です。


「ユリスモールに、我が身の愛だけを告げてトーマは自殺した―その後、シュロッターベッツ高等中学(ギムナジウム)がむかえた転入生は、ぐうぜんにも、自殺したトーマとそっくりの顔のまき毛の少年。
彼、エーリクは、はねっかえりで、短気で、マザ・コン。
たちまち、ル・ベベ(あかんぼう)という愛称(ニックネーム)をちょうだいした。


――表向き学校一の秀才と評されるユーリ(ユリスモール)は、内心全くおだやかではない。
おりにつけ、トーマの影はエーリクと重なり、死をもってまで、少年(トーマ)がユーリに示した愛をうけ入れることはさらにできず、倒錯した思考の中で、ユーリはエーリクに殺意をもってつめよったりする。


いっさいを理解しているオスカーは、エーリクを町につれだしたりして、極力、ユーリとエーリクのしょうとつをさけさせようとする。
そんなオスカーに、エーリクは好感をもち、ユーリに対する悪感情を率直にぶつける。


めぐる日びの中で、とつぜん、エーリクは、母親の死を告げる手紙を受け取った。」


ページ全体の画像もどうぞ。

 

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『週刊少女コミック』1974年40号(連載第21回)

 

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「今までのお話」です。
物語としては、この回から第2部なんですね!


「結局、この日からストーリーは第二部にはいる。
ユーリ委員長を愛していたトーマ・ヴェルナーの自殺、そして、追いうちをかけるように現われた、トーマそっくりの転入生、エーリク!


罪人であるがゆえに、自分にとって、愛すること、愛されることは、許されないのだと信じていたユーリは、結局、トーマに心を開くことはなかった。
しかし、エーリクの姿は、トーマと重なり、それはたえず彼の背後から自分の愛をうけ入れてくれるようにと、ユーリのとざした心の扉をたたくのである。


ユーリは、エーリクを憎み、殺意すら持ったが、エーリクの愛していた母親が急死して、彼の悲しみの行き場がないときに、同情が先に走り、ユーリは、彼をなぐさめる。
ユーリの知られざる一面を見た思いで、エーリクは、彼に好感を持ち、やがては、せつなる恋に変わっていくのであるが……


トーマすら死なせたユーリに、エーリクの心が通じるかどうか、舞台は、また、学校に戻り、さまざまの人間もようの中、展開していく。」


全体の画像です。

 

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『週刊少女コミック』1974年42号(連載第23回)

 

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「少コミまんが家ホットジョッキー」の「おしゃべりコーナー」。
読者からの質問に答えてキャラクターの誕生日が書かれています。


 エーリク 19XX年1月1日
 トーマ  19XX年4月27日
 オスカー 19XX年2月14日
 ユーリ  19XX年12月6日


これらの日付はアシスタントさん方の誕生日と聞いたことがあるのですが、そうなのでしょうか?
詳しい方にご教示頂きたいです。

 


『週刊少女コミック』1974年45号(連載第26回)

 

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綴じ込み付録の「少コミにんき者シール」です。

 


『週刊少女コミック』1974年46号(連載第27回)

 

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連載中、唯一のフルカラー扉です!
高橋亮子先生の「つらいぜ!ボクちゃん」との合同扉でした。


そして掲載誌では、なんと扉の裏面もカラーページでした!!

 

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「さよなら――ぼくは行くよ
さよなら――ぼくは行くよ
それできみには
すべてが残されたことになる
そうして何も
失われるものはないんだ


いったろう
きみを愛してるって


いっただろう
きみを愛してるって」


これを発見した時は本当に驚きました。
フラワーコミックスもパーフェクトセレクションもこのカラーページは未収録で、掲載誌になかったこちらの絵 ↓ に差し替えられているからです。

 

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(『萩尾望都パーフェクトセレクション2 トーマの心臓Ⅱ』より。下も同)


カラー原稿をモノクロ印刷してもよかったのに、なぜ差し替えられたのでしょうね?
もしかしてトーマのモノローグをここに入れたくなかったからでしょうか。
最終回には、これとほぼ同じトーマのモノローグが出てきます。

 

 

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カラーページの時点ではユーリはトーマの心がまだわかっていなかったけれど、最終回ではもうわかっていたので受け止め方が違うのですよね。
もしかすると先生は、このモノローグを物語の最後にもってくる方が効果的と考えてカラーページを削除されたのかな、という気がします。
でも実はもっと単純な理由かもしれないし、本当のところをお聞きしてみたいですね。

 


『週刊少女コミック』1974年48号(連載第29回)

 

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予告カットです。
20号の表紙カットの一部を流用しています。

 


『週刊少女コミック』1974年49号(連載第30回)

 

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表紙カットです。

 

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同じ号の「主な登場人物」です。
全体の画像はこちら。
欄外に「今までのお話」が書かれています。

 

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「トーマの自殺後、転入してきたエーリクの愛の告白に、ユーリは悩む。
バッカスは、彼(ユーリ)の胸の傷について、オスカーに尋ねた。
彼(オスカー)は静かに話しだした。
ユーリの胸の傷は、サイフリートたちにリンチされ、ついたものだと。
なぜ彼(ユーリ)はリンチされたのか!?
二人の話を聞いてしまった彼(ユーリ)は、怒り叫んだ……オスカー、君は知っていたんだ!」

 


別冊少女コミック』1974年12月号

 

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別冊少女コミック』に載った『少コミ』の広告です。
本編からの流用かなと思って探したのですが見つからなかったので、予告用に描かれたのかもしれません。

 


『週刊少女コミック』1975年9号

 

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フラワーコミックス1巻の広告です。
「この娘うります!」第4回の本編内に挿入されました。

 


『週刊少女コミック』1975年14号

 

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フラワーコミックス2巻・3巻の広告です。
「この娘うります!」第9回の本編内に挿入されました。
3巻単独のこのような広告はありませんでした。
発売された頃に先生が『週刊少女コミック』に作品を発表されていなかったからだろうと思います。

 


『テレビランド増刊イラストアルバム⑥萩尾望都の世界』1978年 徳間書店

 

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予告カット風のイラストですが私は他で見たことがありません。
どこかで発表されたことがあるのか不明です。

 


ポーの一族展」図録(公式記念BOOK)


p. 82、83に、ここに画像を載せていない絵が2点掲載されています。
1つはユーリの予告カット、もう1つはオスカーの未発表イラストです。
ユーリの予告カットは他で見たことがありません。
オスカーの未発表イラストは絵のタッチからして、かなり早い時期に描かれたようです。
図録は現在、一般書店で購入できます。

 

『ポーの一族』と萩尾望都の世界【普及版】 (原画集・イラストブック)

『ポーの一族』と萩尾望都の世界【普及版】 (原画集・イラストブック)

 

 

 

(60)「トーマの心臓」イラスト集①

遅ればせながら明けましておめでとうございます。
今月は新年のごあいさつ代わりに(?)「トーマの心臓」連載時のイラスト集をお届けいたします。
時系列で並べて前半・後半に分けました。
どうぞお楽しみください ♪


特に記載のない限り出版元は小学館です。
古い雑誌のコピーの画像ですのでコンディションは良くありません。どうぞご了承ください。
このイラスト集はファンの方に個人的に楽しんで頂きたいと思って作りました。萩尾先生ならびに出版元様より削除のご要請がありました場合は速やかに削除いたします。

 


『週刊少女コミック増刊フラワーコミック』1974年春の号

 

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「『トーマの心臓』(仮題)
週刊少女コミック19号(4月12日発売)より新連載!
ご期待ください
●萩尾先生の新しい世界が始まる…」


「3月ウサギが集団で」の扉裏に掲載された新連載予告で、タイトルが「仮題」とされています。
この予告の上部分はエドガーのピンナップになっていました。
ページ全体の画像は記事「(24)『ポーの一族』イラスト集~綴じ込み付録①」でご覧頂けます。

 

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同じ増刊号に載った予告カットです。
こちらは「仮題」とは書かれていませんね。

 


『週刊少女コミック』1974年18号

 

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連載開始の前号に掲載された1ページ予告です。
文は


萩尾望都先生はじめての週刊誌れんさい!!

トーマの心臓

思春期の少年の微妙な心の動きを描いて
週刊少女コミック19号(4月12日発売)より堂どう登場

自殺した少年トーマの置き手紙をみたユーリは、ギョッとした。
トーマへの冷たい仕打ちにもかかわらず、ユーリを愛していたトーマは、自分で死ぬことによってユーリの中に生きようとしていたなんて…。
そんなある日、ユーリの前に現われた転校生エーリクは…」

 

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こちらも前号に載った予告で、1ページの3分の2ほどのスペースが使われています。
絵は1ページ予告の一部に別のカットを組み合わせたものです。
文は


「注目の新れんさい ついに実現!

トーマの心臓

とざされた少年の“心”の世界を、詩情豊かに描く、堂どうの大長編力作!
あなたの心にそっと忍びこむ………」


当初は「大長編」になる予定だったんですよね。
それがまさか、先生と編集部の間であのような攻防になるとは…。
このあたりの事情はエッセイ「しなやかに、したたかに」に綴られています。
(『思い出を切りぬくとき』文庫版 2009年 河出書房新社所収)

 


『週刊少女コミック』1974年19号(連載第1回(全33回))

 

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記念すべき連載初回の表紙カットです。
約9×6センチの大きめサイズです。

 


『週刊少女コミック』1974年20号(連載第2回)

 

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連載第2回の表紙カット。
細部まで丁寧に描き込まれた美しい絵なのですが、サイズが約3.3センチ四方と小さくて残念でした。

 


『週刊少女コミック』1974年21号(連載第3回)

 

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綴じ込み付録の「れんさい記念ピンナップ トーマは生きている」。
少し見えにくいのですが左下にトーマの詩の一節が書かれています。


「人は二度死ぬという
まず 自己の死
そして後
友人に忘れ去られることの死
 ――トーマの心臓から――」


昨年銀座で開催された「ポーの一族展」で、ユーリ、オスカー、エーリクが描かれた横長の未発表イラストが展示され、図録p. 162 に収載されています(展示は銀座会場のみ)。
波津彬子先生のお姉様の故・花郁悠紀子先生が萩尾先生から贈呈されたもので、波津先生の次のようなコメントが付いています。


花郁悠紀子は1年間ほど萩尾望都先生のアシスタントをしておりました。
トーマの心臓』を描かれていた頃です。
『週刊少女コミック』の口絵用に描かれたものです。
これは伝え聞きですが、描いたあとで編集部から『遠景の入った絵にしてくれ』と言われて描き直したため、この絵は使わなくなったそうです。」


図録の絵がボツになって上の絵が新たに描かれたのでしょう。

 


『週刊少女コミック』1974年24号(連載第6回)

 

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トーマの心臓」は開始当初の読者アンケートの結果が悪かったので、第6回からテコ入れのために扉絵の原画が読者にプレゼントされました。
その告知です。


トーマの心臓 原画プレゼント 毎週1名


トーマの心臓』のとびらの原画を連載の続くかぎり毎週毎週あなたにプレゼント!
トーマの心臓』の感想をはがきにかいて送ってね。


その他 応募者の中から抽選で毎週50名にモーサマのサイン入り絵ハガキプレゼント!」


こうして扉絵の原画は幸運な読者の方々の手に渡り、所在がわかったもののうち7枚が「ポーの一族展」にて特別公開されました(図録には6枚のみ掲載)。
サイン入り絵葉書は絵柄が3種類あり、絵は印刷でサインだけ直筆だったそうです。

 

この告知は「トーマの心臓」の本編内に挿入されました。
裏写りが激しくて申し訳ないのですがページ全体の画像もどうぞ。
お手持ちのコミックスの同じページと見比べると面白いですよ。

 

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『週刊少女コミック』1974年25・26合併号(連載第7回)

 

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同じく原画プレゼントの告知です。
薄くて読みにくくてすみません。


トーマの心臓に おてがみだして表紙原画もらおう!!

はじめての週刊連載もードキドキ セッセセッセ

おもしろい? つまんない? 女学校のほうがすき?

だ だ だからハガキにあなたの感想かいて送ってね

あてさき 小学館 少女コミック トーマの心臓 表紙原画プレゼント係!!

毎週一名様に原画 50名様に絵ハガキ


時代が違うとはいえ、後世に残る名作なのに始めはこんなにご苦労されたとは驚きですよね。
ページ全体の画像もどうぞ。

 

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『週刊少女コミック』1974年28号(連載第9回)

 

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綴じ込み付録の「少女コミックにんきものロマンシール」です。
糊は付いていません。

 


『週刊少女コミック』1974年29号(連載第10回)

 

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トーマの心臓」と「11月のギムナジウム」の関係についての先生のコメント。
本編内に挿入されました。
右端の絵は逆さまの自画像です。


「読者のかたへ
1971年に発表した『11月のギムナジウム』と、この『トーマの心臓』のキャラクターが同一のため、2作品の間に関連があるのでは?という多数のお手紙をいただきましたが、ストーリーのうえでは全く関係ありません。
その当時はページの都合上、『11月……』のほうをかいたのですが、ストーリーは、『トーマ……』のほうが以前に構成されてました。
萩尾望都

 


『週刊少女コミック』1974年31号(連載第12回)

 

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本編の冒頭に挿入された、あらすじと主要登場人物紹介です。
文章は先生が書かれたのかなと思います。


「あらすじ
春まぢか、一通の遺書をユーリに残して、トーマは自殺!
彼(トーマ)の死はユーリの心に深く影を落とした。
ユーリの親友オスカーはマザ・コンの転入生エーリクを町へ連れだした。


エーリク
トーマの死後転入してきたトーマにうりふたつの少年


オスカー
ユーリの親友


トーマ
ユーリに愛を告げた手紙を残して自殺した少年


ユリスモール(ユーリ)
きまじめな委員長だが何か過去に秘密がありそう」

 

全体の画像はこちら。

 

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『週刊少女コミック』1974年32号(連載第13回)

 

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連載中、唯一の表紙です!
エーリクとオスカーに目を奪われますが、その下を見ると


「〈フラワーコミックス〉
ポーの一族①②③
サイン入り セットでプレゼント!!」


豪華なプレゼントですね。
この号には作家さんからの暑中見舞も載っていました。

 

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なぜかこのエーリクの絵は後に「ポーの一族 エディス中編」の予告カットに流用されました。
入稿が間に合わなくて先生が「これで代用してください」とおっしゃったのでしょうか?
それとも返却されずに編集部に保管されていた原稿が再利用されたとか?

 

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こちらも同じ32号。
毎週見開きで載っていた「少コミまんが家ホットジョッキー」の右ページです。
「にがお絵教室」が興味深いですね。
ポーの一族展」でも展示されましたが残念ながら図録には載っていません。


似顔絵の左の「表紙のおしゃべり」は表紙のイラストについての先生のコメントです。


「今週号の表紙、いつもと少し、違うでしょ。
そう、この表紙、まわりを切ればステキなピンナップになるのよ。
オスカーとエーリクを、あなたのおそばにってわけ。
たいせつにしてネ!
萩尾望都)」


更にその下の「近況報告」コーナーにも萩尾先生のコメントがあります。


「次週33号は、カラー増ページの『トーマの心臓』どうぞお楽しみにネ!(萩尾)」

 

 

トーマの心臓」イラスト集は後半に続きます。

(61)「トーマの心臓」イラスト集② - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

 

 

記事(21)に追記しました

ヨハンナスピリッツのパイの正体について新たなコメントを頂いたので追記しました。
これで一件落着?

(21)ヨハンナスピリッツのパイの謎 - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

 

(59)「モードリン」「花嫁をひろった男」~映画みたいなサスペンス

1969-73年作品、今回はサスペンス2編です。
まずは私が特に好きなこちらから!


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「モードリン」

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(『萩尾望都作品集2 塔のある家』1995年 小学館より。以下同)


こちらは『週刊少女コミック』1971年29号に掲載された40ページの作品です。
タイトルの「モードリン」は主人公の名前。
もうすぐ12歳になる少女です。


ある嵐の夜、眠れなくて部屋を出たモードリンは暗がりの中で叔父ウイルの姿を見かけます。
ウイルは階段の下を気にしていたようでした。
モードリンが下りて行くと、そこには庭師のクレーじいやが倒れていました。


けれど誰にも言わずベッドに戻ったモードリン。
翌朝、母からクレーじいやが階段から落ちて亡くなったと聞かされます。


モードリンは知っていました。
クレーじいやは本当はウイルに殺されたのだと。
でも誰にも言わない。
なぜならウイルが大好きだから。
秘密を共有していることが楽しかったから。


そうして半年ほど過ぎた頃、父の友人ブライスが家に滞在するようになり、事態は変わり始めるのでした――。


-・-・-・-・-・-


私はこの作品を読むたびに上質なサスペンス映画を観たような気持ちになります。
1ページ目はモードリンのモノローグで始まるのですが、ここからもう作品の世界にグッと引き込まれるのです。

 

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「それが
クレーじいやでも
マーサばあやでも
運転手のベンでも
―――だれでもいい


たいせつなのはね
あたしが
知っているということなの
すてきな
ウイルおじさん

そうよ


だれにも
言いやしないわ
こっそりしまっておく


でもね
ウイルおじさん


知っているのよ
三月の あの
嵐の夜のこと
あたし――モードリンは
見たのよ」


大人びた少女の顔とモノローグ、いびつなインテリア。
惹きつけられる導入ですよね。
読者は最初からウイルが犯人だとわかって読み進めることになるのです。


ブライスの登場まで物語は動かず、主にモードリンの心の声が続きます。
大人びているけれど実はまだ背伸びしているだけの子ども。
全編を通して、その危うさがスリリングです。


映画的だと感じるのは独特のカメラアングルも理由の1つだと思います。
例えばこちらはブライスが、クレーじいやの死と同時に大時計が止まった話を聞く場面。

 

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ブライスは作家なのですが探偵のようですね。
1コマ目のブライスの顔の次にコーヒーと煙草の吸いさしを置いて時間の経過を表す。
大時計をアップから徐々に引いて下から見上げる人間を映す。


そしてこちらはラスト近くのモードリンとウイルの会話の場面。

 

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この時2人は向き合うように座っているのですが、モードリンが逆さに描かれていて緊迫感が増しています。
普通の漫画には、なかなかない表現ですよね。


また、この作品に限った話ではありませんが、周りの大人達の描写がリアルなことや建物・家具などが本物らしく見えることも映画を思わせる一因かもしれません。


私がこの作品を初めて読んだのは中学生の時でしたが、読みながらとてもドキドキしたのを覚えています。


最後に初期特有のローマ字の書込みをオマケに。


「〈裏話〉
この作品は69年の春に構成したものなのだ」

「そうして2年前の下絵にペンを入れると ひどくおかしな感じがする」


作品の発表は71年ですが『萩尾望都作品集』収録の最終ページには「69年5月」とあります。


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「花嫁をひろった男」

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「花嫁をひろった男」は『週刊少女コミック』1971年春の増刊号に掲載された32ページの作品です。
ストーリーは――


ある朝、オスカーが出勤途中に占い付きの体重計(こんな面白い物があるのでしょうか?)に乗ると、その日の運勢は「たいへんラッキーな ひろいものをします」。
でもそんな拾い物などないまま夜になり帰路につくと、車の前に突然ウエディングドレス姿の女の子が!


花嫁はキャンディ・18歳。
その日の午後、教会で結婚式を挙げたばかり。
ところが花婿はハネムーン先のホテルで毒入り紅茶を飲んで死亡。
しかも過去に2回結婚していて、毎回12時間以内に花婿が死んでいるという話。


オスカーの父である刑事はキャンディに殺人の容疑をかけ、キャンディの弁護士は精神鑑定を受けさせようとします。
キャンディはラッキーな拾い物のはずと、無罪を立証するために結婚式を挙げるオスカー。
はたしてオスカーは12時間以上生きていられるのか――!?


-・-・-・-・-・-


シリアスな「モードリン」と違って、こちらはコミカルでおしゃれなサスペンス映画風。


オスカーは「トーマの心臓」のオスカーと顔も名前も同じです。
初期作品には同じ顔のキャラクターがちょいちょい出てきますが、オスカーという名前で登場したのはこれが初めて。
今度オスカーの変遷というのも辿ってみたいなと思っています。


そう言えばこの作品にはローマ字で「ユリスモール バイ(ハン)」「トーマ シューベ(ル)」と書かれているコマがあるんです。
トーマの心臓」「11月のギムナジウム」を(先生曰く)あてどなく描いていらした頃だったのでしょう。

 

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(ローマ字の左上部分に YURISUMOULU  BAI/TOMA  SYUBE)


キャンディは、あっけらかんとした明るさが魅力的。
初期にはこういう前向きなヒロインがよく登場します。

 

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サスペンスとして面白くコメディとしても楽しい「花嫁をひろった男」。
夫のことを「ハズ」と言うのが当時はおしゃれに聞こえました。
ネタバレになってしまうので画像は載せられませんが、私はラストの3コマが洒脱で好きです。


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記事内の作品はこちらで読めます

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「モードリン」「花嫁をひろった男」ともに

ルルとミミ (小学館文庫 はA 44)

ルルとミミ (小学館文庫 はA 44)

 

  

 

(58)「ベルとマイクのお話」「ママレードちゃん」~不器用な初恋物語

萩尾先生がデビューされた1969年から73年までの作品を感想を交えつつご紹介するシリーズ、久々に再開です。
はじめは自分が特に好きな作品をピックアップして書くつもりだったのですが、好きな作品が多過ぎて結局全部ご紹介することにしました。
たびたび中断することになると思いますが、気長にお付き合い頂ければ嬉しいです。


では今回は不器用な初恋の行方を描きながらもタイプの違う2作品を。


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「ベルとマイクのお話」

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「ベルとマイクのお話」は『週刊少女コミック』1971年3・4合併号に掲載された31ページの作品で、小学館の雑誌に初登場した記念すべき作品でもあります。

 

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(『萩尾望都作品集1 ビアンカ』1995年 小学館より。以下同)


先生は初期にラブストーリーをいくつも描かれていますが、軽快な作品が多い中でこちらは最も純粋なラブストーリーという気がします。


主人公はもうすぐ13歳になる女の子・ベルと、同い年位の男の子・マイク。
2人の出会いは公園のスケートリンク


友達とガールハント目的で来たマイクがベルに声をかけますが、ベルはからかわれたと思って無視します。
でも友人達から男の子に関するABCを教わって心を開き、2人は急速に仲良しに。
毎日グループでスケートをするようになります。


そんなある日、マイクにキスされそうになってベルは驚いて逃げてしまいます。
お互いに会いたいのに気まずい2人。
ベルの友人達が仲直りさせようとするものの裏目に出てしまい、余計にこじれて…。


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この作品の一番の魅力は、13歳前後の少年少女が初めて人を好きになって知るときめきや戸惑い、ぎこちなさが丁寧に描かれているところだと思います。


例えばマイクがベルにスイートピーを買ってあげる場面では


「こんな時 男の子は なんて言えばいいのかな」

「女の子は どんな気持ちで花をうけとるのかな」


気まずくなってからは


「マイク 待ってるのに どうしてこないの
……おこってるのかしら
……キスもさせない女の子なんか
つまんないって思ったのかしら」

「……公園でベルに会うかな
……いやがるかな でも……
そばで ただ見てるだけなら……
いいだろう……?」

「――スケート場でベルがもし……
話しかけてきたら?
――いや!
きらってるんだ そんなこと!」


こんな幼い恋心は誰にでも覚えがあるのではないでしょうか。
外国が舞台なのですが、私は読んでいると日本の話だと錯覚しそうになります。


でも、この作品は少年少女の目線だけで描かれている訳ではありません。
ベルの母と、隣に住むジョーという2人の大人の目線も加わっています。


ベルの母はしつけに厳しく、娘に男の子の友達ができたと知るやいなや「どんな子? 家は? お父さんは? 学校は?」「ベル! あぶないわよ!」と言うような人です。
「子どものため」と言いながらステレオタイプの価値観を押しつけるお母さん。
萩尾漫画にはこのタイプの母親がよく出てきますが、先生自らモデルはご自身のお母様だとおっしゃっています。


ジョーは年齢はわからないのですが大学生位に見えます。
ベルの母が「勉強もできるし家のしつけもいいし」と認めている人で、ベルにとっては小さい頃から優しいお兄さん。
意地っぱりなベルを諭して見守ってくれます。


この2人の存在によって単なる子ども向けの初恋物語で終わらず、大人になって読み返しても魅力的な作品になっているのではないかなと思います。


物語はベルとマイクがそれぞれの思いを胸に公園に向かうところで終わります。
その後の展開を読者に想像させるこのラストが、私はとても好きです。


ちなみに個人的に一番好きな絵はこちら。

 

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作品を通して女の子が小鳥に喩えられているのですが、小鳥のように逃げるベルと、つかまえようとするマイクが軽やかで印象に残ります。


また、同じ構図なのに心情の違いがわかる2つのコマも面白いと思いました。
まずこちらは初めて会った時の2人。

 

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マイクが声をかけようと近づいてきてベルは警戒しています。
次は翌日の2人。

 

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顔は小さくしか描かれていませんが、ベルが心を許して仲良くなっているのがわかりますよね。
左の枠線がないのも、ベルの心の開放と空間の広がりを感じさせます。


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ママレードちゃん」

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ママレードちゃん」は『週刊少女コミック』1972年23号に掲載された24ページの作品です。

 

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(『萩尾望都作品集10 キャベツ畑の遺産相続人』1995年 小学館より。以下同)


「ベルとマイクのお話」がリアリティのある初恋物語だとすると、こちらはずっと少女漫画的。
作品の雰囲気がだいぶ違うし、「ベルとマイクのお話」からそれほど時間がたっていないのに絵が華やかになっています(『萩尾望都作品集』では各作品の最後に年月が入っていて「ベルとマイクのお話」は1970年12月、「ママレードちゃん」は1972年4月となっています)。


ヒロインは16歳のジョージァ。
ジョーと呼ばれています。
母は亡くなり、父と3人の兄(弟かも)と5人暮らし。
近所の子とサッカーをするのが好きで男の子みたいなジョーですが、ママレード作りが得意。


ある日、箱いっぱいのオレンジを抱えて家に帰る途中、デザインスクールの生徒の一団とぶつかって家まで送ってもらいます。
生徒達のリクエストでスクールにママレードを持って行ったジョーは皆と仲良くなり、自分とぶつかったジェスに惹かれていきます。
でもジェスはジョーを男の子だと思い込んでいたのでした。


スクールではファッションショーの準備が進められていましたが、当日、一番細いモデルが足をくじいてしまいます。
でも1人だけジョーが女の子だと知っていた生徒の機転でジョーが代役を務めることに。
あわてふためくジョーでしたが…。


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ジョーは「ハナがひくくて そばかすだらけで ガーリガリ」。
でも恋をして、きれいになりたいと思い始め、ファッションにも興味が向いてくる。
なのに男の子と間違われていたと知って大ショック。
どうせ自分なんかと元の生活に戻ってしまいます。


それでもショーに担ぎ出されて華奢な体型を活かせる服を身にまとい、コンプレックスだったそばかすを褒められ、薄化粧をしてライトを浴びる中で自分の魅力に気づくのです。


ジョーとジェスがぶつかってオレンジが道いっぱいに転がり、それをきっかけに恋が始まる。
おてんばな子が恋をして変わっていく。
まさに少女漫画の王道を行く展開ですね。
でもそこで大きなアクセントになっているのがファッションです。


萩尾先生は実際にデザインスクールに通っておられたので実体験に基づいているのでしょう。
スクールやショーの様子が生き生きと描写されていて、とても楽しいです。
中でも2ページに渡ってジェスが西洋のファッション史を語る場面は、専門的で絵も可愛くて見所の1つ。
私も大好きな場面です。

 

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ジョーがジェスの作った服を着てステージを歩いている時、ジェスはこんなナレーションをします。


「No. 11 時の夢
だれにでも少女のころの
夢多き…時があります
夢には目覚めが ともないます
たいていは恋を知ることによって
少女は より美しく
たおやかな娘となり
いつかは……」


その途中で小道具の時計のベルが鳴り出し、ジョーは弾かれたようにジェスに抱きつきます。
まさにこの時が、ジョーが少女の夢から目覚めた瞬間だったのでしょう。
恥じらいと幸せいっぱいの笑顔が可愛いです。


ジョーが鼻歌で歌っているのは「ジョージィ ポージィ プリンにパイ」。
モデルクラブに誘われるところは「この娘うります!」のドミみたい。
ジェスは「精霊狩り」シリーズのイカルスに似てる。
そんなちょこちょこした楽しみも見つかる作品です。


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記事内の作品はこちらで読めます

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「ベルとマイクのお話」

 

アメリカン・パイ (秋田文庫)

アメリカン・パイ (秋田文庫)

 

 

ママレードちゃん」

 

この娘(こ)うります! (白泉社文庫)

この娘(こ)うります! (白泉社文庫)

 

 

 

萩尾望都-愛の宝石- (フラワーコミックス)

萩尾望都-愛の宝石- (フラワーコミックス)

 

 

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過去に書いた1969-73年作品の感想です。よろしければどうぞ。

1969-73年作品 カテゴリーの記事一覧 - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

 

 

(57)フラワーコミックススペシャル『ポーの一族 ユニコーン』

イベント続きで後回しになってしまいましたが、7月に小学館より「ユニコーン」のコミックスが刊行されました。

 

ポーの一族 ユニコーン (1) (フラワーコミックススペシャル)

 

皆様、もうとっくに読まれたことでしょう。
コミックス版『春の夢』と同様に全扉絵収録、表紙の絵や予告カットもほとんど載っていて嬉しいですね。


しかもパラパラと見たら加筆されているではないですか!
そこで掲載誌と比べてみると、「Vol. 2 ホフマンの舟歌(バルカロール)」に加筆やセリフの変更が沢山あったのでまとめてみました。
ちなみにVol. 1、3、4 は表記の変更だけでした。


・* Vol. 2 前編 *・


まずは冒頭に、エステルがサルヴァトーレとの思い出にふける場面が2ページ分追加されました。
ゴンドラに乗る2人はロマンチックな恋人同士。
この絵が入ったことで、コンサートの後でサルヴァトーレがエステルを訪ねてくる(と言うか勝手に家に入っていたんですけど。壁抜けできるんですか?)場面が、より切なく感じられました。

 

そしてエドガーとアランが久しぶりにブランカに会う場面。
先に掲載誌と同じこのコマがあって、

 

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その後、掲載誌ではブランカのセリフがこうだったのが…

 

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小学館『flowers』2018年8月号より)


コミックスではこうなりました。

 

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「13年もたつんだから」が「13年…いえ14年も~」に変わっていますね。
上のコマでエドガーが「13年…ぶり…? 最後はパリで会ったっけ? 終戦の時に…」と言っていて「※第2次世界大戦は1945年終戦。」と注記が付いています。
Vol. 2 は1958年の話なので確かに13年ぶりの再会です。


でも「春の夢」でブランカがヴァンピールに変化したのは終戦前年(1944)のパリ解放直後なんですよね。
それでセリフが「13年…いえ14年も~」に修正されたのでしょう。


これは言い換えると、「春の夢」のラストでエドガーとアランがパリに向かったのはブランカが変化してすぐの44年なので、ブランカに会ったかどうかわからないということですよね。
でも翌年2人はまたパリに行って、その時は会っていたわけです。


実は私、掲載誌で読んだ時にその辺りが「?」だったんです。
で、変だなと思いつつも記事(38)のVol. 2 前編の感想の中で「エドガーとアランがブランカに会うのは終戦の時(1945年)にパリで会って以来――つまり『春の夢』のラストでパリに行って以来」と書いていたのですが…。
修正で別々の出来事だとわかってスッキリしました。
まあ、そんな細かいこと気にするなって話ですけど。


・* Vol. 2 後編 *・


後編はコンサートの場面が3ページ分追加されました。
歌うブランカとか、オーボエを演奏するガロ神父とか、別れの言葉を交わすダンと母とか。
今回は歌わなかったけど、いつもはサルヴァトーレが去った女を恋うる歌「カタリ・カタリ」を歌うこともわかりました。
サルヴァトーレ、そんなにもエステルのことを…。


そしてエドガーがベルナドットと対面する場面は加筆だけでなくセリフの変更もありました。
私が「おっ」と思ったのは、掲載誌ではこうだったのが…

 

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(同『flowers』2018年9月号より)


こうなったこと。

 

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掲載誌ではエドガーはベルナドットに対して、この時だけ「私」と言って後は「ぼく」でした。
旧作を含めてエドガーが「私」という言葉を使ったのは初めてで新鮮だったんですけど、先生がやっぱりエドガーに「私」は似合わないと思われたのでしょうか。
じゃあ「秘密の花園Vol. 1」での「私」もコミックスでは変わるのかな。


同じ場面では他にローマ皇帝の名前が変わって注記が付き、加筆に伴うセリフの変更もありました。


◆◆・*・◆◆・*・◆◆


コミックスを読んで改めて気になったことも。


Vol. 1 で、かつて老ハンナの館があった一帯が今は「グール(怪物)の丘」と呼ばれているということですが、グールとはどんな怪物なのでしょう?
館が村人に襲撃された時、瀕死のポーが変化してグールになったのでしょうか。
エドガーは目覚めた時にグールの姿に変わっていたと言います。
まだ戻っていないというエドガーの指先は今後の話にどう関わってくるのでしょうか。


また、エドガーが「少しイギリスから離れたかった」のは、どうしてでしょう?


Vol. 4 では、やはりバリー=ダイモン(名前がいくつもある人なので、このブログでは今のところこう呼んでいます)の塔が気になります。
兄を取り戻すために造っているのでしょうが、儀式か何かの生贄としてアランかエドガーが必要なのか?
だとしたら怖い…。
でも、その答えがわかるのは当分先になりそうですね。
まずは「秘密の花園」の続きを待たないと。


◆◆・*・◆◆・*・◆◆


このコミックスの発売時にはテレビCMも流れて話題でした。
ナレーションは宝塚でシーラ役を演じ、すでに退団された仙名彩世さん。
シーラがナレーションしてる!と感激しました。
小学館様、次の『秘密の花園』刊行の際には、ぜひ仙名さんと明日海りおさんのお2人によるナレーションでよろしくお願いします。 

 

  ↑ Amazonでは『ユニコーン(1)』となっていますが(1)はありません。

 

 

(56)「ポーの一族展」の「宝塚歌劇の世界」ゾーン

先日、松屋銀座で大盛況のうちに幕を閉じた「デビュー50周年記念 萩尾望都 ポーの一族展」。
前の記事にレポートを書きましたが、「Ⅱ 宝塚歌劇の世界」ゾーンについては飛ばしていましたので改めてこちらで。


ここは昨年宝塚で上演された「ポーの一族」を紹介するゾーンです。
私も観劇しましたが、原作の世界観を大切にした上で宝塚ならではの華やかさがプラスされ、紙の絵が見事に立体化されていました。


ゾーンの中央では、その舞台のダイジェスト映像が流されていて、多くの方が足を止めて見ていました。
前のゾーンで原画を見ていた時からエドガー役の明日海りおさんの歌声が聞こえていて、私は「明日海さんの声を聞きながらポーの原画を見られるなんて最高 ♪」とニンマリしていました。
でも、このダイジェスト映像、ちょっと短い…。
もう少し長く見せて頂けませんか? 歌劇団様。


映像以外にも、衣装、小道具、舞台写真のパネル、衣装デザイン画、大道具デザイン画を展示。
また、ブラックプールにやってきたポーツネル一家が登場するホテルの階段のセットが、縮小されて設置されていました。


衣装だけ撮影可だったのでご紹介します。


一家がホテルに登場する場面

 

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エドガー

 

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リーベル

 

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男爵

 

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シーラ


エドガーがアランを連れて行く場面

 

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エドガー

 

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アラン


間近で見ると、やはり高級感が違いました。
リーベルとシーラのドレスはとても繊細で豪華です。


小道具はガラスケース内の展示でした。
一番「おおっ!」と思ったのはアランが持っていたロゼッティの焼き絵が付いたペンダントで、ロゼッティに似ているという設定のメリーベル役の華優希さんのスチール写真がちゃんと付いていました。


ドン・マーシャルとマルグリットの本もありました。
ドンが書いた『ランプトン』の表紙には『Lampton/Don Marshal』。
マルグリットが書いた『グレンスミスの日記』は『Glenn Smith’s Diary/Marger te Hessen』。
『グレンスミスの日記』の方は古さを出すために文字がかすれているという凝りよう。
ただ、水を差すようですがマルグリットの本は日記そのものではないので、古くはないはずですけど?
設定が違うのかな。


小道具はこの他に、エドガーが手にしていたバラの花、水車、ビルが老ハンナに打ち込んだ杭、ニンニクを吊るした縄、十字架、メリーベルを撃った銃と銀の弾、パレードで出演者が持っていたシャンシャン、それに台本がありました。


会場を出たところにはフォトスポットが。
用意されていたパネルがこちら。

 

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明日海エドガーと柚香アランの間に立って写真を撮れるんですけど、そんな恐れ多いこと、私には無理!
同じ気持ちの方が圧倒的に多かったからか(実際、立っている方を見たのは2人くらい)、友人が後日行った時にはエドガーとアランがぴったりくっついていたそうです。


★★★★★★★★★


原画展の図録(公式記念BOOK)には、萩尾先生、脚本・演出の小池修一郎先生、明日海さんの鼎談が載っています(『flowers』2018年2月号と3月号に掲載されたものの再録)。
これは制作発表会後に行われた鼎談で、はじめに萩尾先生と小池先生が対談されていて、途中から明日海さんが加わられたようです。


この時点ですでに萩尾先生は宝塚版にかなり期待を寄せていらっしゃいますが、実際に観劇されてからは完全に虜になられ、その素晴らしさを色々なところで口にしておられます。


図録に収載されているインタビューの中でも「舞台をご覧になって、作品に変化はありましたか?」という質問に「描くエドガーが全部、明日海りおさんの顔になってしまったことです」と。
そうそう、「このエドガー、明日海さんでしょ」っていう絵が結構あるんですよね。


極め付きは『演劇界』2018年6月号(演劇出版社)に掲載された夢枕獏さんのエッセイの挿絵。
何せエッセイのテーマが宝塚の「ポーの一族」なので、これはもう完全に明日海エドガーと柚香アラン。
原画展にも出展されていて図録にも載っています。


原作を心から愛する方が創った舞台を、原作者が心から愛している。
原画展に来場された方の中には、舞台化が決まって初めて「ポーの一族」を知って原作を読んだという宝塚ファンの方もいらっしゃるでしょう。
反対に原作ファンでこれをきっかけに初めて宝塚を楽しんだ方や、この会場でふれて興味を持った方もいらっしゃるはず。
私がこのゾーンにいた時に、舞台をご存じないと思われる若い女性が一目見るなり「メリーベル可愛い!」と声を上げていらしたのが印象的でした。
原作と舞台との、幸せな関係を見た思いです。


★★★★★★★★★


原画展の他のゾーンのレポートはこちらです。

(55)松屋銀座「デビュー50周年記念 萩尾望都 ポーの一族展」に行ってきました - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

 

宝塚の関連記事です。よろしければどうぞ。

(31)宝塚「ポーの一族」東京公演を観てきました~原作ファンの愛のツッコミ - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

原作ファン視点での観劇の感想です。

 

(32)宝塚「ポーの一族」ライブビューイングを観てきました~原作ファンの初ライビュ - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

千秋楽ライビュの感想です。
ブルーレイとライビュの演技の違いについても追記しています。