亜樹の萩尾望都作品感想ブログ

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(110)「ポーの一族」これからどうなる!? アンケート結果②と萩尾先生の日本芸術院会員ご就任

こんにちは。
当ブログでは「『ポーの一族』は今後どうなると思いますか? または、どのようなラストを迎えると思いますか?」というアンケートをひっそり実施中ですが、先日ある方からご回答を頂きました!
どうもありがとうございます!!


個人的に共感できる上に、以前からの疑問に答えを提示してくださる内容でしたので、ほぼ全文をご紹介させて頂きます。


「コミックス派なので連載は亜樹さんのネタバレ以外は知りません。
その前提で、「エドガーとアランは永遠に14歳のままポーの村を探し続ける」結末がよいなと。


前シリーズでは協力者はポラスト先生、アーサー、ポリスター卿くらい?で、資料を探し(ホームズの帽子)、同行を頼み(ピカデリー7時)、ポーの村を探し続けてきました。
今回のシリーズでは当初からシルバーを始め協力者がわらわらいて多少興をそがれたような気もしました。
でも、ポーの村はそもそもアランを受け入れないから、協力者たちは場所を教えなかった、ということなんですね。
ポリスター卿は境遇に同情してか、教える気になったようですが。


ポーの村に行く目的は「一面のバラをアランにひと目見せてやりたい」だと思います。
アランをどうしても仲間に入れてもらいたい!わけではなくて。
ユニコーン」でアランは公園のバラを見て「エドガーの言ってたポーの村もきっとこんなふうなんだな」と言いました。
そうだよね、と素直に思いました。
ポーの村は夢見るもので、2人の憧憬にとどめておきたい。


結末では移転改築したポーの村には金輪際入れないように結界を張るか緘口令を徹底するかして、また人間界を浮遊する2人、ゆったり漂うなかで、たまにはファルカやブランカやアーサーにも会える(というか何十年ぶりでも会える友達がいてよかった)。


ちなみにわたしは、アランの青年姿はすでに新シリーズで小カットながら見ており、想像もできるのですが、エドガーの青年姿がどうしても浮かばないんですよ。(アランが人間らしいままでエドガーがすでに老成しているせい?)


2人一緒にいるのなら、14歳のままなら、やっぱりバンパネラでなくちゃね、が結論です。
「小鳥の巣」の最終カット(2人手を取り去っていく大好きなコマ)から全然進歩していませんが、それが2人の幸せであってくれたらいいなと思ってます。」


読ませて頂いて、わー素敵だなあ!と思いました。
私の前々からの疑問にも2点触れられていますので、まずはそこから書いていきますね。


①旧シリーズでエドガーとアランはポーの村を探していた。
エドガーは村と接触があったのに、なぜ場所を知らなかったのか?


これ、旧シリーズの中では別に不思議じゃなかったんですよね。


ポリスター卿も村を探していて、その入口が見つかったのでエドガー達を一緒に連れて行ってくれるはずだった(ピカデリー7時)
アーサーは村と繋がりがあるのか不明(エディス)
ポラスト先生は名前しか出てこない(一週間)
アランを仲間に加えた後で他の一族は登場しない


なのでエドガーが村の場所を知らないことは全然不自然じゃなかったんです。


でも新シリーズになると、実はアランを仲間に入れた後もクロエやシルバーやケイトリン達と接触していたことが分かってきました。
村の方ではエドガーの居場所を把握しているのに、なぜエドガーの方は知らなかったのか?


その謎に回答者さんが出してくださった答えは、「ポーの村がアランを受け入れないから、協力者達は場所を教えなかった」。


なるほどー!
それは十分考えられますね!


少なくともクロエやシルバーといった村側の人は、そうかもしれません。
秘密の花園」に名前だけ出てきた後見人の弁護士・ウィンクル氏や、ロンドンにいるという主治医(実在するのか不明)も同じでしょう。


ただアーサーはちょっと違うようです。


回答者さんはコミックス派だそうなのでまだ読んでいらっしゃらないと思うのですが、「青のパンドラ」Vol. 6 でアーサーは、シルバーに何度か村に連れて行ってもらったと話します。
その時初めてエドガーから、アランが一族に加わる儀式をしていないため村に行けないことを聞くのです。


つまりアーサーは事情を汲んで教えなかった訳ではないんですよね。
じゃあなぜ教えなかったのかといえば、単に聞かれなかったからかもしれないし、あるいは初めて村に行ったのが1976年にエドガーとアランの消息が途絶えた後だったからかもしれません。


②旧シリーズでエドガーはなぜアランを村に連れて行こうとしていたのか?


これも新シリーズで、アランが一族と認められていないという設定が加わって謎になりましたよね。


クロエなんて「本当は生かしておくこともできないわ!」とまで言ってるし(春の夢)。
村に行ったら消されてしまうかもしれないのに、なんで?


回答者さんの答えは「一面のバラをアランにひと目見せてやりたい」から。


なーるほどー!
私は全く思いつきませんでしたが、その可能性はありますよね。


アランがロンドンの公園のバラを見て「…すごいなァ どこまで行ってもバラだ エドガーが言ってたポーの村もきっとこんなふうなんだな……」と嬉しそうに言っていたのは「ユニコーン」Vol. 3 でした。
ポーの村にはもっとバラが咲いているでしょうから、エドガーとしては見せてやりたいと思うかもしれません。


「ポーの村は夢見るもので、2人の憧憬にとどめておきたい」という一文に心を掴まれました。


◆◆◆**◆◆◆


回答者さんが望むラストをまとめさせて頂くと、「ポーの村は場所を移して再建されるが、エドガーとアランはその場所を知らされず永遠に14歳のまま探し続ける。たまに友達と会いながら、ゆったりと人間界を浮遊する」ということになるでしょうか。


さながら「小鳥の巣」の最終ページのように手を取り合って。
それが2人の幸せであってくれたらいいな、と。


はい、私、ここにめちゃくちゃ共感いたしました。
なぜなら私も「小鳥の巣」のラストページが大大大好きだから!


と言っても「小鳥の巣」を未読の方や、読んだけどラストページを忘れちゃった方もおられるでしょうから、こちらに掲載させて頂きます。

 

(『萩尾望都パーフェクトセレクション6 ポーの一族Ⅰ』2007年 小学館より)

 


このページ、いつまでも眺めていたくなります。


ちなみにですね、はじめの3コマ――つまりアランが斜め後ろからエドガーの左肩に手を置き、エドガーが振り向いて微笑み合う流れは、宝塚版「ポーの一族」のラストシーンで再現されてブルーレイに収録されているんですよ。


もっとも収録後いつからか、この演出はなくなりましたけど。
マニアック過ぎてどうもすみません。


話をアンケートに戻して。


回答者さんがおっしゃるアランが青年になった姿は、フラワーコミックススペシャル『秘密の花園1』所収の番外編「月曜日はキライ」に登場します。
サラサラッと描かれているんですけど、「ああ、アランが成長したら10年後はこんな感じね」と納得。


でも私も24歳のエドガーってあまり想像できないんですよね。
顔つきや体つきが多少大人っぽくなるだけで、基本的に今と変わらないような…?


◆◆◆**◆◆◆

 

今回頂いた回答は、もしかしたら多くのファンが望んでいるラストに近いかもしれません。
でも、ちょっと違う、または全然違うラストを思い描いている方もいらっしゃるでしょう。
連載が再開されて思いつくこともあると思います。


もしよろしければ、それを当ブログに教えて頂けませんか?
自分1人が考えつくことなどタカが知れているので、他のファンの方の予想や願望をぜひ聞いてみたいと思っています。


「ラストはどうなるか」というだけでなく、「あの人がこんなことをするかも」「あのエピソードがこうなるんじゃない?」など何でも結構です。


フォームを使わずコメント欄に書いて頂いても大丈夫です。
お待ちしております ♪

 

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◆◆◆**◆◆◆


さて、もはや旧聞に属する話ではありますが、最後に萩尾先生のニュースを。


先生は3月1日付で日本芸術院会員に就任されました!
先生、おめでとうございます!!

 

flowers.shogakukan.co.jp

 

会員は非常勤の国家公務員で任期は終身だそうです。
萩尾先生のますますのご活躍をお祈り申し上げます。

 

~2024. 4. 25 追記~


上の記事内で、アーサーとポーの村の関係を次のように書きました。


「回答者さんはコミックス派だそうなのでまだ読んでいらっしゃらないと思うのですが、「青のパンドラ」Vol. 6 でアーサーは、シルバーに何度か村に連れて行ってもらったと話します。
その時初めてエドガーから、アランが一族に加わる儀式をしていないため村に行けないことを聞くのです。


つまりアーサーは事情を汲んで教えなかった訳ではないんですよね。
じゃあなぜ教えなかったのかといえば、単に聞かれなかったからかもしれないし、あるいは初めて村に行ったのが1976年にエドガーとアランの消息が途絶えた後だったからかもしれません。」


ところが「青のパンドラ」を読み直していたところ、Vol. 1 でアーサーとバリーが次のように話す場面があることに気付きました。

 

(フラワーコミックススペシャル『ポーの一族 青のパンドラ1』2023年 小学館 p. 19)


アーサーはこう言っています。


「(バラ油などを)この頃は外注してるが
1950年頃までは ここでつくってた
シルバーにポーの村に案内されて…
そこで作り方を教わった」


エドガーは(一緒に)行っていない
あの村はアランを迎えてくれないそうだ
だからアランに気を使ったんだろう」


これが事実なら、こういうことですよね。


アーサーは、エドガーとアランが消息を絶つ1976年よりもずっと前からポーの村に行っていた

Vol. 1 の時点で、アランが村に受け入れてもらえないことを知っていた

 

そうだとしたらVol. 6 でアーサーは、アランが村に行けないことを初めて聞いた振りをしたのでしょうか?
それなら回答者さんがおっしゃるように、アーサーもエドガー達に村の場所を敢えて教えなかったのかもしれないですね。


私はVol. 1 のこの会話をすっかり忘れていまして、大変失礼いたしました。
今後真実が明らかになるのか見守りたいと思います。