亜樹の萩尾望都作品感想ブログ

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(107)「青のパンドラ Vol. 9 ヨーク・ロイヤル・ダイヤモンドホテル_01」

激しくネタバレしております。ネタバレNGの方は申し訳ありませんが作品をお読みになってから、ぜひまたいらしてくださいね ♪

 

こんにちは。
1か月のお休みをはさんで「青のパンドラ」Vol. 9 がスタートしました!


タイトルの最後に「01」が付いているところをみると、少しずつ数回に分けて掲載されるようです。
今回は10ページ。


「ポーの村のバラがフォンティーンによって焼き尽くされてしまったため、シルバーが村人達をホテルに連れて来る。
そのホテルに家族と食事に来たライナーは、偶然カミラと再会。
でもカミラは、なぜかよそよそしい。
ロビーの一角ではライナーの娘のワンダがアルゴスに興味を持って近づき、アルゴスはライナーの妻を見て驚く――」


ストーリーはこれだけなんですけど、情報量の多さにびっくり。
思わずページ数を数えてしまいました。


ということで感想を始めましょう。
まずは一族の話から。
ここで扉絵をどうぞ!

 

小学館『flowers』2024年1月号より。以下同)

 

バスでホテルに辿り着いた20人の一族。
(どうでもいいことですが、あのバスはホテルの送迎バスですかね?)
こんな集団がロビーにいたら2度見してしまいそう。


驚いたのは、子どもがいること!

 

 

子どもは仲間に加えないはずなのに、なぜいるの?
親も一族なの?
見たところエドガーやアランより年下っぽい。
何年生きてるの?


まあ、こうして子どもが出てくるということは、先々何かあるんでしょうね。


それにしてもこの面々、個性的で面白すぎます。
ホテルもエレベーターもカードキーも、何ならバスさえ未知との遭遇で、いちいち大騒ぎ。
いやあ、シルバーも苦労しますね。


「ブラム・ストーカー クモの会」という架空のファンクラブを装うとはナイスアイデア
ブラム・ストーカーは小説「吸血鬼ドラキュラ」の作者なんですね。
「吸血鬼ドラキュラ」が発表されたのが1897年なので「19世紀愛好家」という説明も、なるほどと思われそう。


でも「クモの会」にはどういう意味があるのでしょうか?
ご存じの方がいらっしゃいましたら、ぜひご教示をお願いしたいです。


◆◆◆◆◆◆


ホテルに来たのはシルバーを入れて20人で、シルバー以外に人間界に慣れているのは「シュタイン先生」と呼ばれている人物だけのようです ↓

 

 

「先生」ということは医師とか弁護士とか?


この20人の他にゴールドを含む15人が、マリアとアイザックの手引きでヘルムスリー城近くの農家の廃屋に落ち着いたようです。
アイザックが「まだ仲間はあちこち隠れてるだろう」と言っているので、逃れてきた村人は全部で40~50人くらいでしょうか。


人間界と行き来がある一族は、シルバー、マリア、アイザック、シュタイン、ケイトリン。
ゴールドも?
エドガーやアーサーのように、ほとんど人間界で暮らしている人もいますね。
あと、村を追放されたクロエやバリー達も。


村に引きこもっていた人と人間界にいる人では、どっちが多いのかな?


15人の女性が落ち着いたヘルムスリーは、ノース・ヨークシャー州のノース・ヨーク・ムーアズ国立公園内にあり、中世の面影を残す町だそうです。
シルバー達のホテルはノース・ヨークシャー州の都市ヨークにあり、ヨークには大老ポーの仕事場もあります。


フォンティーンとバリーがいるのもヨークシャーの灯台
今、一族は主にヨークシャーに散らばっている状態なんですね。


ところで前々から一族の潤沢な財源が謎でしたが、今回ますます不思議になりました。
「ヨーク・ロイヤル・ダイヤモンドホテル」って名前からして高級そうで、20人が長期滞在したら相当な費用がかかりそう。


何か秘密結社があってそこから資金が出ているのかなあと思ってたんですけど、もしかして錬金術ですかね?
新シリーズになって空間移動とか催眠術とか記憶操作とか出てきているから、錬金術くらい軽く使えるんじゃないかと思うんですよ。


この謎もそのうち明かされるかな。


◆◆◆◆◆◆


さてさて、今回はカミラとライナーと、その周辺の人々も登場しました。


Vol. 5 でライナーも言っていたように、カミラという名前はレ・ファニュの小説「吸血鬼カーミラ」から採られているんでしょうね。
ブラム・ストーカーはこの小説に影響を受けて「吸血鬼ドラキュラ」を書いたそうです。


ちょっと話が逸れましたが、カミラはアルゴスに操られている状態なんでしょうか?


ギリシャ出身の祖父が亡くなったので葬式のためロンドンに行っていて、今日はギリシャ人の弁護士の宿泊手続きでホテルに来た」と話していますが…。


多分全部作り話かなと思うんですけど、ギリシャ人の弁護士ってアルゴスのことですかね?
とてもそうは見えませんが(笑)


そしてもっと気になるのはライナーの家族ですよ。


娘のワンダはVol. 5 でカミラに「お人形のようにかわいい ひとり娘ね でも病気 青白い肌に白っぽい髪…」と言われていました。
ぜんそくの発作をたびたび起こすようです。
この言葉からもっと病弱そうな子を想像していたんですけど、意外と元気でしたね。


それよりむしろワンダの母、つまりライナーの妻のダフネーの方が何かありそうな。
だってアルゴスが「こんなとこに……いたのか……」って驚いてるんですから。


でもダフネーはアルゴスに見覚えがない様子。
金髪の儚げで美しい人ですけど、ライナーと結婚していて子どももいるのだから人間ですよね?
その母親らしき女性も、生命力が強そうで人間にしか見えないし。


アルゴスが一方的に知っているだけなのか。
いつどこで会ったのか。
関係が気になります。


◆◆◆◆◆◆


さて、Vol. 9 はタイトルの通りホテルが主な舞台になるのでしょうか。
次回はエドガーとアランにも登場してもらいたいものです。


でも次回作が掲載されるのは来年の初夏頃とのこと。
毎年初冬頃から翌年の初夏頃まで休載ですが、最近は隔月掲載なので「青のパンドラ」が終わるまで長期のお休みはないんじゃないかと勝手に思っていました。


先生の休養期間かもしれませんが、もしかしたらこちらの関係かも。

 

flowers.shogakukan.co.jp

 

2024年1月25日から3月17日までフランスのアングレーム市立美術館で萩尾先生の特別回顧展が開催されるそうです!
先生も現地入りされるかもしれないですね。
そうしたら『flowers』にレポートが載るかも。


休載は残念ですが、首を長くして再開を待つことにしましょう。


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