★思い切りネタバレしております。ネタバレNGの方は申し訳ありませんが作品をお読みになってから、ぜひまたいらしてくださいね ♪
さあ、「秘密の花園 Vol. 5」です。
いやいや、今回も驚きの展開でしたよね~!
まさかブラザー・ガブリエルがエドガーに食われるとは。
感想に行く前に扉絵をどうぞ ♪
(小学館『flowers』2020年11月号より。以下同)
2人がそれぞれ蝶のように、あるいは2人で1匹の蝶のように見えます。
Vol. 2 でも背景にこのようなモチーフがありましたが神秘的で素敵ですね。
さて、物語はエドガーを中心に急展開。
今回は大きく3つに分けて感想を書いていきたいと思います。
◆ 1 エドガー自身のこと
◆ 2 エドガーとブラザー・ガブリエル
◆ 3 エドガーとアーサー
◆◆・* 1 エドガー自身のこと *・◆◆
前回カウスリップのワインを初めて飲んで体質に合わず、危機に陥ったエドガー。
バンパネラとしての自分自身についても一族についても知らないことが多く、男爵夫妻と一緒だった頃は守られていたのだと実感します。
ポーツネル一家の絵が嬉しい。
シーラが若くて可愛いです。
旧シリーズでは大人っぽかったけど20歳ですもんね。
エドガーがそれまで飲んだことのないカウスリップのワインを飲んだのは、館の人間達の中に長く1人でいたから。
「だからアランが必要だ
アランがいたらもっと用心した」
「人間の中に長くいるのは危険だ
つい人間のやることに染まってしまう
…気をつけないと…!」
このモノローグ、ハッとさせられました。
エドガーにとってアランが精神的に何ものにも代え難いほど大切で必要な存在だということはわかっていましたが、アランを守るために自然と慎重になれるから傍にいてほしいという側面もあったんですね。
それで今更ながら気づいたのですが、旧シリーズのエドガーは男爵達と一緒にいた間はずっと「人間に戻りたい」と願い続け運命を呪って孤独だったけれど、アランと2人になってからは違うんですよね。
いつもメリーベルのことを考えていても、自分の運命を呪っている感じはあまりしない。
それは「人間に戻りたい」と思わなくなった訳ではなく、男爵夫妻が自分とメリーベルを守ってくれたようにこれからは自分がアランを守らなくてはという使命感の方が強くて、バンパネラとして生きざるを得なくなったからではないでしょうか。
アランを仲間にした時点で無意識にでも運命を受け入れていたのかもしれません。
だからこそアランには自分にない人間らしさを求めるのかも。
それからこれはエドガー自身のことではないのですが、今月号には「(アランが)目覚めた時は飢えているだろう 食事を用意しておかないといけない…」というモノローグもありました。
前から思っていたんですが、長い眠りから覚める時ってどんな状態なんでしょうね?
変化した直後は本能的に血を求めて人間を襲ったりしますけど、あんな感じになるのかな。
◆◆・* 2 エドガーとブラザー・ガブリエル *・◆◆
アランが眠っている小屋に入ろうとしたためにエドガーの餌食になってしまったブラザー・ガブリエル。
やっぱりポーではなくて人間だったみたいですね。
この展開にもびっくりでしたが、もっと衝撃だったのはブラザーのエナジーを奪うと同時に、ブラザーのメリッサとの記憶がエドガーの中に入ってきたこと。
こんなことがあるんだ~!
エドガーは「……こんなに生々しく… 記憶が入りこんで来たのは はじめてだ」と焦っていて、記憶が入り込むこと自体が初めてなのか、入り込むことはあったけどここまで生々しいのが初めてなのか、はっきりわからないのですが。
どちらにしても、なぜ今回に限って?
ブラザーのメリッサへの想いがあまりにも強かったから?
それとも、もしやブラザーが普通の人間ではなかったから?
ブラザーの記憶はメリッサが亡くなる前日から発見されるまで。
メリッサは同じ服を着ているので、ブラザーとの会話からあまり時間を置かずに亡くなったようですね。
この断片的な記憶の合間に何があったのか、とても気になるところです。
更にブラザーのエナジーと共に「夢」まで吸い込んでしまったらしいエドガーの枕元に現れた、メリッサの霊。
「ひとつだけ お願い」とは一体何なのか?
気になりますね~。
ところで先ほどブラザーがポーではなくて人間だったようだと書きましたが、まだ 100% そうとは言い切れない気がします。
だって謎が多いから。
どうしてエドガーの中に記憶が入り込んだのかということ以外にも、
なぜフィレンツェで死んだと思われていたのか。
なぜ15年ぶりに館を訪れたのか。
メリッサの話をしている時に言い淀んだことは何だったのか。
それはメリッサの死と関係があるのか。
これらの謎が先々どんなピースとなって物語に嵌め込まれることになるのか楽しみです。
今回、画商のホルバインも「ブラザーがフィレンツェで亡くなったとグロリアに聞いた」と証言したわけですが、グロリアがなぜそう言ったのか、エドガーの容赦ない一言が面白かったですね。
で、ブラザーがお香でお清めをしながら「少年のそういう無邪気さこそ邪悪なものだ」と仕返しみたいに言うのが可笑しい。
この時ブラザーが清めていたのは幽霊の魂ですよね?
それがメリッサの霊だとブラザーは知っていたのかな。
◆◆・* 3 エドガーとアーサー *・◆◆
今号でエドガーとアーサーの心の距離は、ぐっと近づいたような気がします。
アーサーの体調が悪い時やブラザーを偲んでいる時にエドガーが寄り添い、アーサーは幼少期の思い出を語ったりエドガーの言葉に慰められたりする。
心が落ち着いていく。
ブラザーの遺品の『カンタベリー物語』を前にエドガーがアーサーを支えている場面は、2人の心が通じ合っていて胸に沁みてきます。
エドガーも危険だということを忘れて人間の心を取り戻したよう。
アランに「やっぱり人間のところに長くいるのはよくない…どんどん人間に……ひかれてしまう…」と語りかける姿が少し切ないです。
エドガーがアーサーに「迷惑ならアランをつれて出ていきます」と言ったのは、これ以上アーサーに惹かれるのが怖かったからでしょうか。
でもアーサーの方もエドガーに惹かれていて、まだ手放したくない。
いずれアーサーは自らの意志で一族に加わることになるのかな、という気がします。
◆◆・*・◆◆・*・◆◆
その他にはブラザーが探していた「天国の庭」。
エドガーはアーサーに、それはメリッサのいた中庭だったのだろうと言いました。
ブラザーは最期に帰って来られたのだから可哀想ではないのだと。
「秘密の花園」というタイトルには、アランが秘かに眠る花園、アーサーとドミニクが幼い頃に遊んだ思い出の庭という意味があるのかなと思っていたのですが、ブラザーの秘めた想いという意味も込められているのかもしれません。
最後に、今号で私が一番好きだった絵はこちらの小さなコマ ↓
何だかすごく「『ポーの一族』を読んでるぞ」っていう気がするんですよ。
わかって頂けます?
◆◆・*・◆◆・*・◆◆
4枚目のランプトンの絵の制作が始まろうとするところで連載は休止。
続きは来年の春だそうです。
また待ち遠しい日々が始まりますね。
でも11月10日頃に Vol. 5 までを収めたフラワーコミックススペシャルが発売!
これにはショート番外編も収録されるんでしょうね。
今思えばショート番外編は、「秘密の花園」でアランがほとんど眠っているのでアランファンに向けたサービスだったのかも。
先生、お心遣いありがとうございます。
それに先立って10月28日頃に発売される『flowers』12月号には、コミックスに掛け替えられるカバーと栞が綴じ込み付録で付いてくるそうですよ ♪