亜樹の萩尾望都作品感想ブログ

*盛大にネタバレしております。記事を探すにはトップのカテゴリー一覧からどうぞ 

(92)萩尾望都SF原画展@アーツ千代田3331に行ってきました

萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく」が2022年7月9日から24日まで久しぶりに東京で開催されたので行ってきました。

 

 

この原画展は2016年にスタートし、全国を巡ってきました。


①2016 東京 武蔵野市立吉祥寺美術館

②2017 新潟 新潟市マンガ・アニメ情報館

③2017 兵庫 神戸ゆかりの美術館

④2017 静岡 佐野美術館

⑤2018 福岡 北九州市漫画ミュージアム

⑥2018 群馬 高崎市美術館

⑦2018 宮城 石ノ森萬画館

⑧2019 山梨 山梨県立美術館

⑨2022 秋田 横手市増田まんが美術館

⑩2022 東京 アーツ千代田3331


私は①の吉祥寺美術館と④の佐野美術館に行って、今回は3か所目です。


最初の吉祥寺美術館は展示数200~250点程だったでしょうか。
こぢんまりした会場でしたが大勢のファンが詰めかけて、萩尾先生の原画を間近で見られるという喜びと興奮で熱気に溢れていました。
しかも入場料が100円!
本当にいいのか?と思ってしまう料金で、ものすごいおトク感がありましたね。


次に行った佐野美術館では展示数が約400点に増えていて見応えがありました。
まるで芋の子を洗うようだった吉祥寺に比べると、立ち止まってじっくり見られて感動もひとしおでした。


そして今回のアーツ千代田3331(3331 Arts Chiyoda)。


この会場のことは全然知らずに行ったのですが、何だか学校みたいだなあと思ったら、廃校になった中学校を改修した建物でした。
靴箱がおしゃれなフライヤー棚になっていたりして面白かったです。
来春には再び改修されて新たな文化芸術施設になるそうです。


入ってすぐのカフェを横目に見ながら原画展の展示室へ。
今回も展示数は約400点とのこと。
佐野美術館の時と全く同じかどうかは分からないのですが、構成は同じで4つのゾーンから成っていました。


それでは個人的に印象に残った作品を少し。


はじめは「あそび玉」や「精霊狩り」シリーズなどの初期作品群。
自分が馴染んだ作品ばかりでワクワクしました。


ユニコーンの夢」はラスト8ページの展示。
黒の効果、繊細な線、儚く優しい絵柄で、ファンタジックな世界にいざなわれます。


「追憶」と題されたカラーイラストポエム。
ここまでずっとモノクロの絵だったので、カラーの美しさがひときわ鮮やかに見えました。
このイラストポエムは『チェリッシュブック 少年よ』(1976年 白泉社)に「おまえ」という題で収録されていて、当時から好きでした。
『少年よ』でポエムは一部変更されています。


そして、これもまた大好きな「月蝕」。
佐野美術館でも食い入るようにして見ましたが、今回も全ページあったので1枚ずつ時間をかけて鑑賞し、繊細な絵で表現された寓話の世界に浸りました。


次のゾーンでは「百億の昼と千億の夜」の原画が多数あって目を引かれました。
中でもイメージアルバム付属のポスター用に描かれた阿修羅王と花の大きな絵が美しくて、とても印象に残っています。


ここにはネームも展示されていました。
私はネームとは、原稿と同じくらいのサイズの紙にコマ割りをして文字とラフな絵を入れるのかなと勝手に想像していたのですが、A5くらいの小さな紙に文字だけだったので意外でした。
貴重なものを見せて頂いた気分です。


この後も美しいカラー原稿が沢山ありましたが、中でも「マージナル」の扉絵の数々に見入ってしまいました。
人物の均整の取れた体の美しさ、色の美しさ、構図の美しさ。


「マージナル」、私はずっと前に一度読んだきりで、また読みたいと思っているんです。
でも単行本を持っていないので、カラーがそのまま再現されている本を出版してほしいなと希望しています。
個人的にはパーフェクトセレクションのサイズが読みやすいのですが、雑誌サイズでも良いですね。


原画展の会場にはタペストリーが飾られ、関連書籍が陳列されていました。
時々順路に迷ったりしましたが、ゆったりした空間で鑑賞できて良かったです。


夕方の時間帯にも関わらず訪れる人は途切れず、皆さん思い思いに好きな絵の前に佇んでいるようでした。
私は古い萩尾漫画に思い入れがあるのでどうしてもその頃の絵を重点的に見てしまうのですが、全く知らない文庫本のカバーイラストなども見ていて楽しかったです。


展示会場のすぐ隣がグッズ販売コーナーで、新刊の『百億の昼と千億の夜 完全版』(河出書房新社)も平積みされていました。
私はグッズは見ただけなのですが、キャラクターパレードTシャツが魅力的でした。
SF作品だけじゃなくて、ポーやトーマや半神やイグアナ娘などのキャラも勢ぞろい!
あのイラストを何かの本に収録して頂きたいです。


この展覧会も、いよいよ次の大阪がファイナルだそうです。

 

 

9月9日(金)~19日(月・祝)
あべのハルカス近鉄本店


ファイナルということで賑わいそうですね。
今回、別の会場で萩尾先生と星野之宣先生の対談イベントが行われましたが、大阪ではトークショーがあるようです。
詳しくは公式サイトをご覧ください。

萩尾望都SF原画展 公式サイト Hagio Moto SF Exhibition


★彡 ★彡 ★彡


佐野美術館に行った時の記事です。ご興味のある方はどうぞ。

(23)SF原画展@佐野美術館に行ってきました - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記


原画展の図録です。
掲載されていない絵もありますが美しくてページを繰るのが楽しいです。

www.kawade.co.jp