亜樹の萩尾望都作品感想ブログ

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(101)「青のパンドラ Vol. 7 大きく息を吸って」

激しくネタバレしております。ネタバレNGの方は申し訳ありませんが作品をお読みになってから、ぜひまたいらしてくださいね ♪

 

こんにちは。
『flowers』7月号に「青のパンドラ」Vol. 7 が掲載されましたね。

 

小学館『flowers』2023年7月号より)


扉絵はマジシャンになったエドガーとアランでしょうか。
お揃いの燕尾服にシルクハット。
バラと小鳥がメルヘンチック ♪


…なんて悠長なことを言ってる場合じゃありませんよ。
今号はものすごい衝撃で!


あの、念のために伺いますが、皆様もうVol. 7 を読まれたんですよね?
もしまだの方がいらっしゃいましたら、これからとんでもないネタバレになりますよ。
言いますよ?
いいですね?

 

 

まさかまさかアランが人間に戻っちゃうなんて―――― !!!!


いやもう、この新シリーズが始まって以来驚きっぱなしではありますが、個人的に今度のは「ユニコーン」Vol. 1 でエドガーがトランクを抱いて「アランはここにいるよ」と言った時に匹敵する最高レベルの衝撃でした。


呼吸する
脈がある
体温がある
お腹がすく
のどが渇く
トイレに行く


血の神が体内に吸い込まれてこんなことになるなんて誰が想像したでしょうか。
(もし予想した方がいらっしゃったらすごい!)


しかもどうしたら元に戻るのか誰にも分からない。
もし人間のままなら、エドガー達とはもう一緒に暮らせない。
なぜなら人間は「食料」だから。


これ、アランの身になったらたまりませんよ。


目覚めたら40年たっていて、「実は体が黒い石みたいに縮んでいたのが今は元に戻ったけど中に血の神がいるんだよ」と言われ、そのせいで人間になってしまって、もうエドガーと一緒に暮らせないかもしれないなんて!


こんな現実を一気に突き付けられたら普通は思考停止でしょう。


でもショックなのはエドガーも同じなんですよね。
死ぬほど求めていたアランがやっと復活できたのに、まさかこんな事態に陥るとは…。


それにしてもエドガーのアランに対する独占欲も、なかなかですね。
オリオンの「ぼくが(血の神と)一番親しいから…」という言葉に「アランと一番? ほほう」って嫌味っぽく返すところ、笑う場面じゃないはずなのに面白すぎました。


そのオリオンも、血の神が壺を失って困っているだろうと心配でたまらない。


誰もかれも途方に暮れていて、一体どうなってしまうんでしょうか?


◆◆◆◆◆◆


この場面で楽しかったのは、エドガーとアランの服の好みを少しだけ聞けたこと。


トラディショナルな服をよく着るのは無難で楽だから。
アランは衿の先が丸いピーターパンカラーが好きだけどエドガーは違う(確かにそうですね)。
アランはモスピンクが好き。


時々個性的な服も着ていますが、ファッションに関しては2人ともあまり冒険しないタイプなのかな。
でもシルバーじゃないけど服の流行は移り変わりが早いから、長く着るには上質でベーシックなものが正解かも。


彼らは今回、アーサーがオンラインで買ってくれたVネックのニットをお揃いで着ていますが、新シリーズでは番外編も含めてVネックニットの着用率が高めのような。


ところでアーサーは2人のために色々と買ってくれるし、もちろん自分のためにもお金が必要なわけですが、どうやって収入を得ているんですかね?


工場でつくっているというバラ油やバラ水でビジネスとか。
レスターのクエントン館をホテルに改装して経営とか。
絵を描いて売っているとか。
意外と株で儲けていたりして。


それと、アランの好きなハチミツやパンは、いつから用意していたんだろう?
そんなどうでもいい些細なことが、つい気になります。


◆◆◆◆◆◆


一方、ポーの村では、結界を解かれたバリーが炎の剣を携えて姿を現しました。


一陣の風ののち、カメラがバラの近景から遠景へと引いていき、雨と共にバリーのアップで終わるのが嵐の前触れのよう。
この最初のページを含めて5ページ半が全て横長のコマで、バリーと村人の対立の構図が強調されます。


ラスト、ついにフォンティーンのもとへ辿り着いたバリー。
本当に兄を解放するのか。
するとどうなるのか?


もう、あっちもこっちも大変です!
Vol. 7 は急がずに衝撃をたっぷりと味わわせてくれた回でした。


早く続きが読みたいですが、来月号はお休みで次は7月28日頃発売の9月号とのこと。
うーん、焦らされますね!


◆◆◆◆◆◆


「青のパンドラ」Vol. 1~6 の感想はポーの一族カテゴリー一覧からご覧頂けます。よろしければどうぞ。

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