亜樹の萩尾望都作品感想ブログ

*盛大にネタバレしております。記事を探すにはトップのカテゴリー一覧からどうぞ 

(30)「ポーの一族」イラスト集~予告・表紙・合同扉絵④

④は「小鳥の巣」全4話のイラストです。


特に記載のない限り出版元は小学館です。
ほとんどが古い雑誌のコピーの画像ですのでコンディションが良くないものもあります。特にモノクロは不鮮明だったり裏写りしたりしています。また、絵の傾きを補正しきれていません。どうぞご了承ください。
このイラスト集は旧作のレアなイラストをご紹介してファンの方にポーの世界をより楽しんで頂きたいという思いで作りました。萩尾先生ならびに小学館様より削除のご要請がありました場合は速やかに削除いたします。

 


「小鳥の巣」第1話

予告カット
別冊少女コミック』1973年3月号

f:id:mimosaflower:20171230234403j:plain

エドガーの頭のところにある紫の三角(実は矢印の先端。これがない絵をご覧になりたい方は記事(26)の最後をどうぞ)が邪魔ですが、私の大好きな絵です。
背景に書棚があってエドガーが本を手にしているところをみると図書室なのでしょうか。
図書室は「小鳥の巣」で重要な役割を果たす場所です。
張り出し窓から落ちるロビン・カーの影をキリアンが見たのも、アランがキリアン達にペーパーナイフで刺されそうになったのも、そしてエドガーがキリアンからロビンの話を聞いたのも、すべて図書室でした。
その場所が1話の予告に描かれているのは暗示的ですね。

f:id:mimosaflower:20180117223946j:plain

こちらも私の大好きな絵です。
エドガーの肩にアランが手を回していて、その下に窓が描かれているのが、おわかり頂けるでしょうか?
ロビンと思われる人影も見えます。
この予告カットには単独バージョンもあります。

f:id:mimosaflower:20180117223947j:plain

f:id:mimosaflower:20180110163941j:plain

エドガーは余裕を浮かべた横顔が魅力的。
ポーの一族」第1話の予告(「グレンスミスの日記」から採った絵)と服もポーズも似ているのに顔の感じはかなり違いますね。
アランは一見とても可愛いのに、口元にかすかに小悪魔的な微笑を含んでいてドキッとしてしまいます。
こんな顔で「ばらと ぼくと どっちが好き?」なんて囁かれたらマチアスでなくても好きになっちゃうよ、と思いませんか?
2人の表情といい、窓辺のロビンといい、作品のイメージを象徴するような予告カットです。

予告カット
別冊少女コミック』1973年3月号 「メリーベルと銀のばら」第3話本編内

f:id:mimosaflower:20180110163942j:plain

あの「ハンプティ ダンプティ」のページの左端に挿入された予告です(単行本では右ページですが掲載誌では左ページでした)。
ポーの一族」のラストのコマと同じポーズで門の向こうに佇むエドガーとアラン。
門のデザインや手前の木まで同じです。

「萩尾先生の怪奇ロマンシリーズ
――4月号予告――
小鳥の巣 第一話

高等中学
先生
生徒たち

転入生
ふたり
それから?」

注目は絵の下に萩尾先生手書きの年表があることです。

「えー ポー・シリーズを年代順にならべますとこうなります。
いつごろの時代でしょという おてまみをいただきましたので
・メリーベルと銀のばら――1740~1757年
・すきとおった銀の髪――1820~1850
・ポーの村――1865
ポーの一族――1879
・グレン・スミスの日記――1899~1959
・小鳥の巣(これ来月より連載)――1959」

「グレンスミス」がここでも「グレン・スミス」になっています。
また、「すきとおった銀の髪」の年代は『flowers』2017年3月号の年表と違っています。
そのあたりのことは、こちらの過去記事をご覧くださいませ。

(11)この作品は、いつ頃のお話?~①「すきとおった銀の髪」 - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

 


「小鳥の巣」第2話

予告カット
別冊少女コミック』1973年4月号

f:id:mimosaflower:20171230234405j:plain

f:id:mimosaflower:20180110163943j:plain

カラーはファンの多いキリアンです。
モノクロはエドガーとアランの間にある模様が血のようにもバラの花のようにも見えます。
素敵なカットなのに裏写りしているのが残念です。

f:id:mimosaflower:20200618165626j:plain

(2020. 6. 22 追加)
エドガー(?)に首筋を触れられてドッキリのテオです。

予告カット
ポーの一族 プレミアムエディション 下巻』2019年刊(2020. 6. 22 追加)

f:id:mimosaflower:20200618165631j:plain

上のテオのモノクロ予告は絵が見づらいので、こちらもどうぞ。

表紙カット
別冊少女コミック』1973年5月号

f:id:mimosaflower:20171230234404j:plain

頬杖をつくアランと、エドガーのシルエット。
アランは眉も目も唇も赤く彩色されています。

 


「小鳥の巣」第3話

予告カット
別冊少女コミック』1973年5月号

f:id:mimosaflower:20171230234407j:plain

全体が見える絵もあります。印刷の関係だと思いますが色合いが異なります。
(画像は『別冊少女コミック』1976年8月号「ポーの一族名場面集」より。記事(26)に掲載)

f:id:mimosaflower:20180222154458j:plain

「小鳥の巣」の予告は素敵な絵が多くてうっとりしてしまいますが、こちらもそんな1枚です ♪
3話は次のようにストーリーが進行します(未読の方、すみません)。

エドガーはグロフ先生に時計を盗んだのは自分だと嘘の告白をする
マチアスはアランに惹かれていく
アランがキリアン達にペーパーナイフで刺されそうになったところをエドガーに助けられる
エドガーは報復にキリアンを襲おうとするが、キリアンとロビンの間にあったいきさつを聞いて心を変える
マチアスが2人の異質な空気を感じ取り、エドガーはマチアスに襲いかかる

予告はストーリーにマッチした、魔性の笑みを湛えて寄り添う2人。
そして突き立てられたペーパーナイフ、舞う鳥の羽根――。
アランの服が制服のシャツではなくフリルのブラウスで、さらにムードを高めています。

f:id:mimosaflower:20180110163944j:plain

左からキリアン、涙をこぼすロビン、エドガー、そして下の方にエドガーとロビンのシルエット。
物語を感じさせる絵で、当時この予告をご覧になった方は想像をかき立てられたのではないでしょうか(私は間に合いませんでしたが)。
予告としては大きく掲載されたのですが、それでも周囲が切れてしまっているのが惜しまれます。

予告カット
『週刊少女コミック』1973年21号 「オーマイ ケセィラ セラ」本編内(2019. 4. 20 追加)

f:id:mimosaflower:20190415225508j:plain

キリアンにペーパーナイフを突き立てられそうになるアラン。
手書きで「別冊少女コミック6月号 予告 小鳥の巣(三話)40ページ」と書かれています。
『週刊少女コミック』(少コミ)に『別冊少女コミック』(別コミ)の広告が載る場合、絵は作品からの流用が多かったのですが、こちらは珍しい描き下ろしで「オーマイ ケセィラ セラ」の本編内に挿入されました。

表紙カット
別冊少女コミック』1973年6月号

f:id:mimosaflower:20171230234406j:plain

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、花の中、マチアスを襲うアランです。
アラン、目が赤くて怖いです。
ポーの一族」第2話の合同扉絵のアランを襲うエドガーもですが、この頃はバンパネラモードの時は目が赤く描かれることがあったようです。

 


「小鳥の巣」第4話

予告カット
別冊少女コミック』1973年6月号

f:id:mimosaflower:20171230234408j:plain

魔性の2人。丁寧に描き込まれた絵なのに、掲載誌ではサイズが小さくて勿体ないなあと思いました。

f:id:mimosaflower:20180110163945j:plain

右は本編の絵と違いますがマチアスだと思います。
萩尾望都パーフェクトセレクション7 ポーの一族Ⅱ』の見返しにも似た男の子のスケッチがあるので、当初はこのようなキャラクターデザインが考えられていたのでしょう。

予告カット
別冊少女コミック』1973年6月号 第3話本編内

f:id:mimosaflower:20180110163946j:plain

仮死状態のマチアスを発見したキリアンです。

「――別冊少女コミック7月号――
小鳥の巣〈最終回〉

創立祭のまくが
あいた――だれも
知らない舞台がすすみ
サカナはロビン・カーの血を
さらにとり…
マチアスは
目ざめ…」

予告カット
『週刊少女コミック』1973年28号(2019. 4. 20 追加)

f:id:mimosaflower:20190415225509j:plain

『少コミ』に1ページの半分を使って掲載された描き下ろし広告です。
連載終了に当たっての萩尾先生のメッセージが書かれています。

「ついに7月号で、ポー・シリーズは、
おわりです。生まれいでた主人公たちは
その後もかわらず、ひたた、ひたたと、
どこぞやのときのあいだを走っていく
ことでありましょう。
 左図は、盲導犬をひいて、あんまにいく
わたしです。目を痛めまして、しばらくは、
世のなかからポーとともに、
遠ざかるつもりであります。」

左下にご自分と犬の小さなカット。
先生、目を痛められたのですね。
別コミ』1972年7月号から翌年7月号まで怒涛のポーシリーズ連載でしたから、かなり目を酷使されたのではないでしょうか。
このエドガーとアランの絵が私はとても好きです。
ユニコーン」連載中の今、2人がまた一緒に旅を続けられる日が早く来ますようにと願っています。

  

 

(29)「ポーの一族」イラスト集~予告・表紙・合同扉絵③

③は「メリーベルと銀のばら」全3話のイラストです。


特に記載のない限り出版元は小学館です。
ほとんどが古い雑誌のコピーの画像ですのでコンディションが良くないものもあります。特にモノクロは不鮮明だったり裏写りしたりしています。また、絵の傾きを補正しきれていません。どうぞご了承ください。
このイラスト集は旧作のレアなイラストをご紹介してファンの方にポーの世界をより楽しんで頂きたいという思いで作りました。萩尾先生ならびに小学館様より削除のご要請がありました場合は速やかに削除いたします。

 


「メリーベルと銀のばら」第1話

予告カット
別冊少女コミック』1972年12月号

f:id:mimosaflower:20171230234355j:plain

f:id:mimosaflower:20180106233329j:plain

カラーの幼いエドガーとメリーベル、可愛いですね。
モノクロは「ポーの一族」作品中の踊るメリーベル
アランが雨の中を訪ねてきてプロポーズする場面です。

予告カット
別冊少女コミック』1972年12月号 「ポーの一族」第4話本編内

f:id:mimosaflower:20180106233330j:plain

ちょっとメルヘンチックで可愛いエドガーとメリーベル
絵の上の文は次のとおりです。

「――1月号予告――
怪奇ロマンシリーズ 萩尾望都
『メリーベルと銀のばら』

丘のうえに住んでる老婆 ふたりの子ども
美しい婦人をともなった背の高い紳士
ふしぎな儀式 やさしい目の金色の王子
物語の舞台は さらに百年をさかのぼって
展開します……」

萩尾先生は執筆中の1972年秋に竹宮惠子先生達とヨーロッパを旅行されていました。
下の手書き文字はその時のエピソードです。

「モスクワ行きのシコーキの中で
この原稿を かいてたら
ソレンのハンサムが
似顔絵かいてくれって
へたくそな画家だなって思ったろーな
ククク…
9月15日」

表紙カット
別冊少女コミック』1973年1月号

f:id:mimosaflower:20180117223609j:plain

胸にクイを打ち込まれた女性とエドガーです。
この号でポーシリーズは初めて掲載誌の表紙にカットが載りました。

 


「メリーベルと銀のばら」第2話

予告カット
別冊少女コミック』1973年1月号

f:id:mimosaflower:20180106232852j:plain

f:id:mimosaflower:20180117223945j:plain

カラーはメリーベルとユーシスで「すごい人気れんさい!」と書かれています。
モノクロのエドガーは髪の部分にバラの花が描かれていて、憂いに満ちた表情とともに印象に残ります。

予告カット
別冊少女コミック』1973年1月号 第1話本編内

f:id:mimosaflower:20180203152843j:plain

1話の作品内に横ブチ抜きで挿入された予告です。

「メリーベルと銀のばら(第二話)

ときはたち、日は過ぎ
美しく成長したメリーベル
やさしい目の金色の王子に
恋をし――」

左はメリーベルですが右の黒髪の女性は誰なのでしょうか。
マドンナとはイメージが違うので、もしかするとエドガーの最初の餌食になったディリーかもしれません。
もしそうだとすると、その場面は掲載誌にはなくて単行本で加筆されました。
萩尾先生のお話によれば「メリーベルと銀のばら」は当初50ページ×3回=150ページの予定だったのが雑誌掲載の都合上31ページ×3回=93ページになり、単行本にする時に保存していたネームを使って大幅に加筆なさったそうです。

 


「メリーベルと銀のばら」第3話

予告カット
別冊少女コミック』1973年2月号

f:id:mimosaflower:20171230234357j:plain

f:id:mimosaflower:20180106233331j:plain

モノクロは泣きながらナイフをかざすメリーベルです。
もっと全体が見える絵はこちらをどうぞ。
(画像は『テレビランド増刊イラストアルバム⑥萩尾望都の世界』1978年 徳間書店より)

f:id:mimosaflower:20180106233332j:plain

予告カット
別冊少女コミック』1973年2月号 第2話本編内

f:id:mimosaflower:20180106233333j:plain

手前に後ろ姿のエドガー、奥に剣を構えたオズワルドが描かれています。
決闘の場面のイメージですが、本編では剣ではなく銃が使われていました。

萩尾望都先生の
世界が ここに結晶!!
『メリーベルと銀のばら』(最終回)

そうしてひそやかに とばりの影で
妹を見まもりつづけていたが
その幸福へのねがいが 最後には――」

合同扉絵
別冊少女コミック』1973年3月号

f:id:mimosaflower:20171230234356j:plain

「第二話最終回」と書かれていますが「第三話最終回」です。
全体が見える絵はこちらをどうぞ。
(画像はセイカ永遠の少女マンガぬりえ5 ポーの一族」より)

f:id:mimosaflower:20180106232853j:plain

合同扉絵は、これが最後になりました。

 

 

(28)「ポーの一族」イラスト集~予告・表紙・合同扉絵②

②は「ポーの一族」全4話のイラストです。


特に記載のない限り出版元は小学館です。
ほとんどが古い雑誌のコピーの画像ですのでコンディションが良くないものもあります。特にモノクロは不鮮明だったり裏写りしたりしています。また、絵の傾きを補正しきれていません。どうぞご了承ください。
このイラスト集は旧作のレアなイラストをご紹介してファンの方にポーの世界をより楽しんで頂きたいという思いで作りました。萩尾先生ならびに小学館様より削除のご要請がありました場合は速やかに削除いたします。

 


ポーの一族」第1話

予告カット
別冊少女コミック』1972年8月号

f:id:mimosaflower:20171230234352j:plain

クラシカルなイメージのエドガーとメリーベルです。

f:id:mimosaflower:20180106233321j:plain

シーラですね。
印刷が薄いのでわかりにくいかもしれませんが、座った状態で背後の人物の左手に自分の右手を重ね、妖しく微笑んでいます。
後ろにいるのは男爵なのでしょう。

予告カット
『週刊少女コミック夏休み大増刊』1972年8月25日号

f:id:mimosaflower:20180106233323j:plain

あれ?「ポーの一族」の予告なのにエドガーがギムナジウムの制服着てる?
よく見たら「グレンスミスの日記」1ページ目の2つの絵を合成したものでした。

予告カット
別冊少女コミック増刊フラワーコミック』1972年8月号(8月15日号)

f:id:mimosaflower:20180106233322j:plain

「グレンスミスの日記」の予告に続いて、このアランの髪も本編と違いますね。
本編1話のアランはこちら。
(画像は『萩尾望都パーフェクトセレクション6 ポーの一族Ⅰ』より)

f:id:mimosaflower:20180203141823j:plain

もしかしてアランのキャラクターデザインは難航したのでしょうか。
個人的に私、この予告の髪のアランがとても好きなんですよね ♪
あっ、もちろん本編のセンター分けスタイルも好きですよ。

合同扉絵
別冊少女コミック』1972年9月号

f:id:mimosaflower:20171230234351j:plain

薄いとばりの向こうからバラを背景にこちらを見つめるエドガー。
1話の予告と合同扉にはすべて「怪奇ロマンシリーズ」と書かれていて、このキャッチフレーズはこの時から始まったようです。

 


ポーの一族」第2話

予告カット
別冊少女コミック』1972年9月号

f:id:mimosaflower:20180106232847j:plain

f:id:mimosaflower:20180106233324j:plain

合同扉絵
別冊少女コミック』1972年10月号

f:id:mimosaflower:20171230234353j:plain

2話の予告カットと合同扉絵はどれもアランを襲う、または襲おうとするエドガーです。
合同扉はかなりインパクトがありますね。
実は私、昨年の「くじ」でこの絵のクリアポスターをゲットしまして…怖いんですけど美しいです。

 


ポーの一族」第3話

予告カット
別冊少女コミック』1972年10月号

f:id:mimosaflower:20180106232848j:plain

海辺の小屋のシーラとクリフォード。
3話のクライマックスシーンです。
「最終回」と書かれていますが「ポーの一族」は全4話なので最終回ではありません。
モノクロ予告は2話の予告と同じ絵が使われています。

予告カット
別冊少女コミック』1972年10月号 第2話本編内

f:id:mimosaflower:20180106233325j:plain

この頃は作品の中に予告が入ることがよくありました。
たいていは左ページの左端に縦ブチ抜きで入っていて、単行本ではその部分に絵を足してうまくカバーしたり、カットや文章で埋めたりしていたのです。
この予告も2話の本編内に挿入されたもので、絵はメリーベルを抱きしめるアラン、文は次のとおりです。

「――11月号予告――
萩尾望都先生がお贈りする
怪奇ロマンシリーズ
ポーの一族

ひそやかに永遠のときを
生きつづけるポーのひとびと
  十月号よりつづいて…」

 


ポーの一族」第4話

予告カット
別冊少女コミック』1972年11月号

f:id:mimosaflower:20180106232849j:plain

f:id:mimosaflower:20180106233326j:plain

モノクロは重傷を負ったシーラを抱きかかえるエドガーです。

予告カット
別冊少女コミック』1972年11月号 第3話本編内

f:id:mimosaflower:20180106233327j:plain

リーベルの涙の横顔と銃を構えるクリフォード。
文は次のとおりです。

「――12月号予告――
ポーの一族』〈最終回〉

クリフォード医師にその正体を見抜かれ
一家は市(シティ)をはなれる決心をする――
いっぽう マーゴットとの結婚を
しつようにおじにせまられてアランは――」

予告カット?
『テレビランド増刊イラストアルバム⑥萩尾望都の世界』1978年 徳間書店

f:id:mimosaflower:20180203152842j:plain

初出も予告カットかどうかもわからないのですが、他作品の予告カット等と一緒に「ポーの一族」として掲載されていたものです。
萩尾先生は2017年11月2日にワシントン大学シアトル校で講演をなさいましたが、その会場のスクリーンの絵がポーシリーズの予告カットで構成されていて、そこにこのカットも含まれています。
萩尾ファンなら皆さんご存じの素晴らしいウェブサイト「萩尾望都作品目録」内の「ニュース」で画像を見ることができます。
2017年11月6日付の記事「萩尾望都先生のアメリカ講演の旅レポート(その1)」をご覧頂くと、3つ目の写真がスクリーンを斜めから映したものです。

萩尾望都先生のアメリカ講演の旅レポート(その1) - ニュース:萩尾望都作品目録

記事の末尾の「現地の方たちのツイートをまとめました。」からTogetterの記事に飛ぶと、もっとよく見える写真があります。

萩尾望都先生2017年アメリカでの講演会のツイートまとめ - Togetter

スクリーンは中央に萩尾先生と女子美術大学の内山博子先生の名前が書かれ、その上下に5つずつカットが並んでいます。
下列の右から2つ目がこの絵で、他のカットは次のとおりです。

〈上列 左から右へ〉
「ポーの村」
「小鳥の巣」第4話
ポーの一族」第2話・3話
未見。雪の中のエドガーのようですが「エヴァンズの遺書」のアーネストのようにも見えます。
「グレンスミスの日記」

〈下列 左から右へ〉
ポーの一族」第1話
ポーの一族」第4話
「メリーベルと銀のばら」第3話
この絵
「エディス」中編

それにしても2017年のイベント時にこれらのカットが使われたということは、今も原画が保存されているということですよね。
ぜひ書籍にまとめて見せて頂きたいものです。

~2019. 2. 26 追記~
スクリーンのカットはすべて『ポーの一族 プレミアムエディション』に掲載されました。
萩尾先生、小学館様、ありがとうございました!
「未見」としていた絵はエドガーではなく雪の中のアーネストでした。

 

  

(27)「ポーの一族」イラスト集~予告・表紙・合同扉絵①

ポーの一族」イラスト集は綴じ込み付録に続いて旧作の予告カット・表紙カット・合同扉絵を作品発表順にご紹介していきたいと思います。
合同扉というのは、作品ごとの扉とは別に設けられた2~4作品合同のカラー扉のことです。昔の『別コミ』にはよくあり、例えば「フレッシュ3人集」や「デラックスけっ作4人集」などといったキャッチフレーズが付いていました。
この①では「すきとおった銀の髪」「ポーの村」「グレンスミスの日記」のイラストをご紹介します。

 

特に記載のない限り出版元は小学館です。
ほとんどが古い雑誌のコピーの画像ですのでコンディションが良くないものもあります。特にモノクロは不鮮明だったり裏写りしたりしています。また、絵の傾きを補正しきれていません。どうぞご了承ください。
このイラスト集は旧作のレアなイラストをご紹介してファンの方にポーの世界をより楽しんで頂きたいという思いで作りました。萩尾先生ならびに小学館様より削除のご要請がありました場合は速やかに削除いたします。

 


「すきとおった銀の髪」

予告カット
別冊少女コミック』1972年2月号(※作品ではなく予告の掲載号です。以下同)

f:id:mimosaflower:20171230234348j:plain

f:id:mimosaflower:20180106233320j:plain

カラーはメリーベルと出会った時のチャールズ、モノクロは再会した時のチャールズです。

 


「ポーの村」

予告カット
別冊少女コミック』1972年6月号

f:id:mimosaflower:20180106232851j:plain

f:id:mimosaflower:20180106233328j:plain


合同扉絵
別冊少女コミック』1972年7月号
(画像は『デビュー40周年記念 萩尾望都原画展』(2009年 「萩尾望都原画展」実行委員会/トラフィックプロモーション)より)

f:id:mimosaflower:20180106232850j:plain

「すきとおった銀の髪」「ポーの村」のカットは、エドガーは小さく描かれているだけでメリーベルがメインですね。
当時の少女漫画では主人公は女の子と決まっていたので、男の子が主人公だと読者に受け入れてもらえない心配があったのかもしれません。

 


「グレンスミスの日記」

予告カット
別冊少女コミック』1972年7月号

f:id:mimosaflower:20171230234347j:plain

f:id:mimosaflower:20180106233319j:plain

予告では「グレンスミス」が「グレン・スミス」になっていますね。
モノクロの方に「ファンタジックシリーズ」と書かれているのが珍しいです。
カラーはモノクロと同じ絵なのですが…
「え、このダークブラウンヘアの男の子、誰!?」って思いませんか?
私は一瞬ユーリかと思ったのですが、いやいや、そんなバカな。
次にルイスかと思いましたが、モノクロの方はエドガーと並んでいるし、微笑んでいることからしてもアランですよね。びっくりです!
ちなみに「グレンスミスの日記」本編のアランとルイスはこちらです。
(画像は『萩尾望都パーフェクトセレクション6 ポーの一族Ⅰ』より)

f:id:mimosaflower:20180203141822j:plain

念のため右からアラン、エドガー、ルイスです。

 

(26)「ポーの一族」イラスト集~綴じ込み付録③

ポーの一族」イラスト集~綴じ込み付録の最後です。


特に記載のない限り出版元は小学館です。
ほとんどが古い雑誌のコピーの画像ですのでコンディションが良くないものもあります。どうぞご了承ください。
このイラスト集は旧作のレアなイラストをご紹介してファンの方にポーの世界をより楽しんで頂きたいという思いで作りました。萩尾先生ならびに小学館様より削除のご要請がありました場合は速やかに削除いたします。


『週刊少女コミック』1976年1号
年賀状(2018. 9. 18 追加)

f:id:mimosaflower:20180615161852j:plain

読者プレゼントの年賀状です。
シックなエドガーのポートレート
こういうマント姿はエドガーの定番スタイルですね。
流し目に思わずドキッとします。
この企画ページには先生方のコメントも付いていました。
萩尾先生のコメントは次のとおりです。

「たくさんのお手紙ありがとう。’76年も、“ポーの一族”をよろしく。」


『週刊少女コミック』1976年4・5号
’76星うらない付き 少コミ 名作ポスター
f:id:mimosaflower:20180130184706j:plain

とてもドラマチックな絵柄のポスターです。
リーベルとユーシスの華やかさと、青白く浮かび上がるエドガー達バンパネラの異質さが対照的。
踊るメリーベルとユーシスの姿は舞踏会の場面を彷彿させますが、髪をなびかせて見つめ合う2人からは激しい胸の鼓動が伝わってくる一方で、悲劇の幕が切って落とされようとする緊迫した空気も感じられます。
画像はトリミングしていますが、この絵の下には星占いが付いています。
裏面は竹宮惠子先生の「ファラオの墓」の星占い付きポスターでした。


『週刊少女コミック』1976年10号
少コミ特製 ポーの一族バレンタイン・カード
(画像はセイカ永遠の少女マンガぬりえ5 ポーの一族」より)

f:id:mimosaflower:20171227230618j:plain

この絵はあちこちで使われているので「ポーの一族」のイラストとしては最も有名かもしれません。
大きく引き伸ばされていたりするので掲載誌をご覧になっていない方は意外に思われるでしょうが、カードの実物は外枠を含めても約14.6×10.2センチの葉書サイズしかないのです。
私はデビュー40周年記念原画展で原画を観る機会に恵まれましたが、原画も小さいものでした。
レースの部分まで丁寧に描き込まれていて、とても優美で上品なポートレートです。


『週刊少女コミック』1976年14号
小学館漫画賞受賞記念 夢のデラックス・ポスター ポーの一族

f:id:mimosaflower:20180526175004j:plain

萩尾先生の第21回小学館漫画賞受賞記念特大号に付いていたポスターです。
縦約36.8×横約26.0センチと、ちょうど見開き2ページ分の大きさがあります。
マンドリンを弾くエドガーと、ささやきを交わすメリーベル
背景の緑にとても映えますね。
この絵は『萩尾望都対談集1970年代編 マンガのあなたSFのわたし』(2012年 河出書房新社)の帯に使われています。


別冊少女コミック』1976年4月号
小学館漫画賞受賞記念 アンコールポスター
(画像はセイカ永遠の少女マンガぬりえ5 ポーの一族」より)

f:id:mimosaflower:20171227230620j:plain

こちらも小学館漫画賞受賞記念のポスター。
「エディス」前編の掲載号に付きました。
エヴァンズの遺書」後編の扉絵です。
この絵も割とあちこちで使われているのでメジャーな方ではないかと思います。
残念ながらフラワーコミックスの「エヴァンズの遺書」には収録されていません。


別冊少女コミック』1976年7月号
ポーの一族 イラストポエム

f:id:mimosaflower:20171227230621j:plain

「エディス」が終了し、第2シリーズが完結した翌月号に付いた華やかなイラストポエムです。
当時、「ポーシリーズは本当にもう終わってしまったの?」と半信半疑の状態だったので、このイラストを見て「やっぱりまだ終わりじゃないよね」と自分に言い聞かせたものでした。
その後、もう続きはないのだとわかって、がっかりしていましたが…
あれから40年。やっぱり終わっていませんでした!!
ポエムは1行目が切れてしまったのですが全文は次のとおりです。

「夜のあけそめに目をさまし
ただ音もない静けさを
この身の中にひきこめば
花の色さえとけだして
なにかけだるいモノローグ
きみ ロンドを踊ろう
ゆるやかに
きみ ロンドを踊ろう
くりかえし
きみ ロンドを踊ろう
   え・詩/萩尾望都

2人は「小鳥の巣」でも軽やかにワルツを踊っていましたね。
昔はダンスが上流階級のたしなみでしたし、彼らもつれづれに踊ったりしたのでしょうか。
私はずっとこのイラストポエムを2人が一緒に旅している時の情景だと思っていたのですが、最近もしかするとアランがいなくなってしまった後のエドガーのモノローグかもしれないと思うようになりました。
夜明けに1人目覚めたエドガーがアランの思い出を辿っているのではないか、と。
もちろん違うかもしれませんが、そう思うとこのイラストポエムが全く違うものに見えてきます…。
この絵は「チェリッシュ・ギャラリー 萩尾望都 自選複製原画集」(1978年 白泉社)のカバー裏に使われています。


別冊少女コミック』1976年8月号
ポーの一族名場面集

f:id:mimosaflower:20171227230622j:plain

左下に作品リストが載っています。
絵は予告カットと表紙カットで構成されていて初出は次のとおりです。

〈上列 左から右へ〉
エドガー:「メリーベルと銀のばら」第3話予告カット
エドガーとアラン:「小鳥の巣」第3話予告カット
リーベル:未確認
エドガーとメリーベル:「メリーベルと銀のばら」第1話予告カット
エドガーとアラン:「小鳥の巣」第1話予告カット

〈下列 左から右へ〉
エドガーとアラン:「ピカデリー7時」予告カット
シーラとクリフォード:「ポーの一族」第3話予告カット
リデル:「リデル・森の中」表紙カット


別冊少女コミック』1976年8月号
ポーの一族アイロンプリント

f:id:mimosaflower:20180411171526j:plain

あまり鮮明でなくて申し訳ないのですが、上の名場面集と同じ号に付いていたアイロンプリントで実物は赤い色です。
アイロンプリントなのでオリジナルの絵と逆向きになっています。
それぞれの初出は次のとおりです。

左端 アラン:「一週間」扉絵
上列左 エドガー(アップ):「エディス」後編予告カット
上列右 エドガー(上半身):「一週間」本編内
下列左 エドガーとアラン:「小鳥の巣」本編内
下列右 ロゼッティ(ローザ):「ポーの一族」本編内のアランが持っていた焼き絵。メリーベルではありません。

この号には萩尾先生と羽仁未央さん(当時12歳)の対談を含む「ポーの一族」特集も5ページに渡って掲載されていました。

 


ポーの一族」イラスト集、次回は予告カット・表紙カットをご紹介する予定です。

 

 

(25)「ポーの一族」イラスト集~綴じ込み付録②

ポーの一族」イラスト集~綴じ込み付録の続きです。


特に記載のない限り出版元は小学館です。
ほとんどが古い雑誌のコピーの画像ですのでコンディションが良くないものもあります。どうぞご了承ください。
このイラスト集は旧作のレアなイラストをご紹介してファンの方にポーの世界をより楽しんで頂きたいという思いで作りました。萩尾先生ならびに小学館様より削除のご要請がありました場合は速やかに削除いたします。


『週刊少女コミック増刊フラワーコミック』1974年夏の号
イラストピンナップ 萩尾望都ポーの一族」――バンパネラの洗礼――

f:id:mimosaflower:20171227230329j:plain

「洗礼」という言葉でいいのかな?とも思いますが、大老ポーにエネジイを授けられるエドガーです。
右下に男爵の姿も見えます。
そして左の方には原作のセリフが添えられています。

「…朝までには時間がある
…今じゃない! ぼくがおとなになって……
…幸運な子だ 大老(キング・ポー)の血を……
 ――「ポーの一族」2(フラワー・コミックス)
    メリーベルと銀のばらより――」

このイラストの原画は読者プレゼントでした。
当たった方、部屋に飾るのはちょっと怖かったのではないかと思うのですが…今もお持ちなのでしょうか。


別冊少女コミック』1974年9月号
ジャンボイラストポスター ポーの一族

f:id:mimosaflower:20180526175003j:plain

縦約34.5×横約20.5センチの、A4サイズより少し縦長のポスターです。
私は昔、このポスターを部屋に貼っていました (*^-^*)
2人きりでしなやかに時を駆けていくエドガーとアランの姿を、うっとり眺めていたものです。
この絵を見ていると作品中の詩が浮かんできます。

「通りすぎる
ときどきの間(ま)に
ささやき 笑い
まなざしを送りかわし

夢を織る
人びとの
あいだを
走り走り

このときの
流れの果てに
なにかあるのなら……」
(「ポーの一族」より)

「時の風よ
といきよ夢よ
走り 走れ
輝きのいまだ
見えぬ地平へ」
(「エディス」より) 


別冊少女コミック』1974年10月号
別コミにんきまんが主人公イラスト集 エドガー

f:id:mimosaflower:20171227230613j:plain

約9.2×4.4センチの小さいサイズながら繊細な絵です。
樹の上で物思いにふけるエドガー。
「メリーベルと銀のばら」での、月明かりに照らされた樹の上でメリーベルに忘れられることに涙していた姿や、「小鳥の巣」での「つれていくな つれていくな――」の場面が思い出されます。
ちなみにこの主人公イラスト集、他の絵は竹宮惠子先生の「空がすき!」よりタグとジュネ、岸裕子先生の「恋はどこから」より玉三郎大島弓子先生の「ジョカへ…」よりジョカとシモンでした。


別冊少女コミック』1974年11月号
フラワーコミックスにんきまんがシール

f:id:mimosaflower:20171227230615j:plain

フラワーコミックスの最初の3タイトルのキャラクターシールです。
シールと言っても糊は付いていません。
上から刊行順に「ポーの一族」、上原きみこ先生の「ロリィの青春」、竹宮惠子先生の「空がすき!」です。
とても繊細な絵なのに、掲載誌では1つが約2.8×2.0センチという切手サイズの小ささなのです。
なんと勿体ない!
せめてエドガーだけでも、もう少し大きいサイズでご覧ください。
(画像はセイカ永遠の少女マンガぬりえ5 ポーの一族」より)

f:id:mimosaflower:20171230234006j:plain

美しいですね~!


別冊少女コミック』1975年6月号
別コミ イラストピンナップ 怪奇ロマン ポーシリーズより〈エドガー〉

f:id:mimosaflower:20171227230616j:plain

第2シリーズが始まり、「リデル・森の中」掲載号に付いていたピンナップです。
画像はトリミングしていますが、左側がカレンダーになっています。
縦笛を吹くエドガーの端正なポートレート
この頃の萩尾先生のイラストは楽器を手にしている人物をよく見るような気がします。
このような単色のイラストは珍しく、独特の雰囲気を醸し出していますね。
ところでタイトルの「怪奇ロマン」って…と思ってしまうのですが、掲載誌の予告などではポーシリーズは最後まで「怪奇ロマンシリーズ」と書かれているのです。
ファンタジーとは認識されていなかったのでしょうか。


『週刊少女コミック』1975年32号
まんが家から書中見舞い状プレゼント

f:id:mimosaflower:20180526175225j:plain

読者プレゼント企画(各3名)の暑中見舞です。
萩尾先生には珍しいタッチの可愛いアラン。
着ている服は「一週間」の寝間着と同じですね。
私はジューンの言葉からアランに「森の精」のイメージを抱いているのですが、この絵はまさにそのイメージにぴったりで大好きです。


『週刊少女コミック』1975年51号
ポーの一族クリスマスカード エドガー

f:id:mimosaflower:20180615161851j:plain

光がゆらめく水底で夢を見ているようなエドガー。
幻想的で美しいクリスマスカードです。
この絵は単行本やデビュー40周年記念原画展図録に収載されているほか、海外版の表紙にも使われています。

 

 

(24)「ポーの一族」イラスト集~綴じ込み付録①

今回から数回に分けて「ポーの一族」の旧作のイラストをご紹介していきたいと思います。
最初は雑誌に綴じ込みで付いていたポスターなどです。


特に記載のない限り出版元は小学館です。
ほとんどが古い雑誌のコピーの画像ですのでコンディションが良くないものもあります。どうぞご了承ください。
このイラスト集は旧作のレアなイラストをご紹介してファンの方にポーの世界をより楽しんで頂きたいという思いで作りました。萩尾先生ならびに小学館様より削除のご要請がありました場合は速やかに削除いたします。


『週刊少女コミック』1973年16号
少コミ愛の名場面集 ロミオとジュリエット

f:id:mimosaflower:20171227230326j:plain
f:id:mimosaflower:20171227230325j:plain

いきなりですが、こちらは綴じ込み付録ではなく見開き2ページのカラーイラストです。
『週刊少女コミック』(少コミ)1973年16号(4月15日号)掲載ですので、『別冊少女コミック』(別コミ)で「小鳥の巣」が連載されていた頃の作品だと思います。
ロミオとジュリエットになったエドガーとメリーベル
毅然と前方を見据えた力強い眼差しが印象的です。
確かにロミオとジュリエットなのですが、何だかエドガーとメリーベルがしっかりと手を取り合って呪わしい運命に立ち向かおうとしているようにも見えますね。
右下の赤ベタ内の文章は次のとおりです。

シェイクスピア原作ロミオとジュリエットの悲恋物語萩尾望都先生のすばらしい筆であなたの前に再現してみました!」


別冊少女コミック』1973年8月号
別コミにんきまんがの先生から あなたへ 夏のごあいさつ……

f:id:mimosaflower:20171227230327j:plain

「小鳥の巣」が終了し第1シリーズが完結した翌月号に付いていた、『別コミ』の作家さん方による暑中見舞の1つです。
緑の風の中のアランという感じで涼やかですね。
この絵を見ると私は「一週間」のジューンのセリフを思い出します。

「あの子って そら 森の精みたいじゃない?
わたしたち 名まえしか知らないわ
ほんとに いたのかしら?」

瞳の色が緑ということもあって、私の中でアランのイメージカラーはこの絵のような緑です。
エドガーはやっぱり青でしょうか。


『週刊少女コミック』1973年31号
まんが家からの暑中見舞い状プレゼント(2019. 4. 20 追加)

f:id:mimosaflower:20190415225215j:plain

上のアランと同じく緑を基調にしたメリーベルの暑中見舞です。
リーベルの瞳の色も緑なのですよね(宝塚版は青でしたけど)。
赤いペンダントがアクセントですね。


別冊少女コミック』1973年10月号
秋のけっ作イラストしおり

f:id:mimosaflower:20171227230328j:plain

切り取ってリボンを付けて使うしおりです。
記憶が今ひとつ曖昧なのですが、昔持っていた『週刊少女コミック増刊フラワーデラックス』(1976年)の「ポーの一族・イラスト&メルヘン大特集」にこの絵が載っていて「初期の習作」というようなことが書かれていた気がします。


~2018. 10. 5 追記~
『フラワーデラックス』を確認したところ、上に書いたような記述はありませんでした。
いい加減な情報を載せてしまい大変申し訳ありません。
ただ、同じページに載っている絵には「発表前のエドガーとメリーベル(未発表)」と書かれていました。
2つの絵の画像を記事(43)にアップしましたので、よろしければどうぞ。

(43)「ポーの一族」イラスト集~その他 - 亜樹の 萩尾望都作品 感想日記

 

『週刊少女コミック』1973年51号
クリスマスカード(2019. 4. 20 追加)

f:id:mimosaflower:20190415225337j:plain

クリスマスカードの左部分で、この右側は別の絵になっています。
ポーの一族」とは特に書かれていないのですが、エドガー、アラン、メリーベルだと思うのでこちらに載せました。
萩尾先生のこういう素描風の絵が私はとても好きです。


別冊少女コミック』1974年1月号
(画像は『萩尾望都パーフェクトセレクション6 ポーの一族Ⅰ』より)
イラストカレンダー

f:id:mimosaflower:20171227230333j:plain

この頃はカレンダー付きのイラストが、よく綴じ込み付録になっていました。
白磁の肌をしたエドガーの妖しい美しさが印象的です。
林の中のエドガーとアランのシルエットは「ポーの一族」で砦跡に行く場面のようでもあり、「小鳥の巣」の沼地のようでもありますね。


『週刊少女コミック増刊フラワーコミック』1974年春の号
萩尾望都イラストカレンダー

f:id:mimosaflower:20171227230330j:plain

お母さん(メリーウェザー)の夢を見ているエドガーでしょうか。

「春らんまんの花の中
香るさんざし 白い窓
緑のコテージで待っていた娘」
「メリーウェザー
かの おちぶれた男爵家の末娘
彼女だけには心をつくし
ひたすら愛し しげく通い」
(「メリーベルと銀のばら」より エヴァンズ伯爵)

「霧の夜――
行ってしまった馬車――
どこか遠くの おぼろな記憶…
ゆりかご… さんざし… 白い窓…
ほんとにあれは…
あれは いつかの日びの ことかしら……」
(「メリーベルと銀のばら」より エドガー)

もしお母さんが早くに亡くならなければエドガーとメリーベルは森に捨てられることもなく、この絵のような幸せな子ども時代を過ごして人間としての限りある命を全うできたのでしょう。
でも、それは夢なのですね。
「エディス」のラストでもエドガーは、メリーベルやシーラや老ハンナとともにお母さんを想っています。
エドガーが一番帰りたかった幸せな場所、それはお母さんのそばだったのでしょうか。


『週刊少女コミック増刊フラワーコミック』1974年春の号
萩尾望都ポーのアルバム〈はるかなるポーの一族によせて〉

f:id:mimosaflower:20171227230331j:plain

1つ上のイラストカレンダーの裏面に掲載された絵で、第1シリーズの主要登場人物が描かれています。
左下のテオが切れてしまいました。テオファンの方、申し訳ありません。
掲載誌ではパープルっぽい色で印刷されているのですが、モノクロコピーのため画像は黒になっています。
この絵は『萩尾望都パーフェクトセレクション7 ポーの一族Ⅱ』に収録されていて、そちらは2色刷りです。また、画面下部のタイトルと文章は入っていません。
『パーフェクトセレクション』の方はキャラクター名が萩尾先生の手書きですが、こちらは活字に組み直してあるため「エヴァンズ伯」の「ズ」が「ス」になっています。


『週刊少女コミック増刊フラワーコミック』1974年春の号
萩尾望都イラストピンナップ〈エドガー〉

f:id:mimosaflower:20171227230332j:plain

こちらも上の2つと同じ雑誌に掲載されました。
綴じ込み付録ではなく「3月ウサギが集団で」の扉絵の裏面で、下部分が「トーマの心臓」の新連載予告になっています。
エドガー、なまめかしく美しいですね!
まさに「凍てついた星のように青い」瞳に射貫かれてしまいそうです。
2つ上のイラストカレンダーと同時掲載ですが、絵のタッチはかなり違いますね。
カレンダーの方はもっと早い時期に描かれたのかもしれません。